トヨタの自動運転シャトル、まずは「運転席があるタイプ」から

MaaS向けEV「e-Palette」の計画判明

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出典:トヨタプレスリリース

トヨタが開発中の自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」。このe-Paletteについて、まずは「運転席があるタイプ」から2020年代前半に実社会でのサービス提供をスタートする計画であることが明らかになった。

同社のオウンドメディア「トヨタイムズ」で2023年7月21日に明かされている。その後、運転席がないタイプを静岡県裾野市に建設中の実証都市「Woven City」などで展開することを見据え、開発が進んでいるという。

なお自動運転技術に関しては、トヨタ、ウーブン・バイ・トヨタ、デンソーで開発中のシステムが搭載されることも触れられている。

ちなみに2021年に開催された東京五輪の選手村では、手動運転もできるタイプのe-Paletteが移動サービスを提供している。

▼「すべての人に移動の自由を」 最新技術に見るトヨタの本気
https://toyotatimes.jp/report/technical_workshop_2023/003.html

MaaS向け多目的EV「e-Palette」とは

e-Paletteは、移動や物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービスを目指したMaaS専用の次世代EVだ。2018年1月に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2018」で初公開された。

その際に展示したe-Paletteは全長4,800×全幅2,000×全高2,250ミリのサイズで、低床・箱型デザインにより広大な室内空間を確保している。キャパシティとしては、オペレーター1人を含む20人乗りとされた。

また、荷室ユニット数に応じて全長4~7メートルほどの異なるサイズの車両を用意可能で、ライドシェア仕様やホテル仕様、リテールショップ仕様など、サービスパートナーの用途に応じた設備を搭載することができるようになっていることも特徴とされた。

■移動式宅配ロッカーや移動コンビニも想定

トヨタイムズでは、移動式宅配ロッカー仕様やアパレルショップ仕様のe-Paletteが2021年1月に公開されている。また2023年4月には、e-Paletteの派生プロダクトとして模索されている「Bridge-Palette」が紹介されており、「自動運転移動カフェ」と呼べるようなモデルの写真が掲載されている。

さらに2023年6月に行った技術説明会「Toyota Technical Workshop」では、e-Paletteのサービスの一例として「移動コンビニ仕様」を紹介した。ディスプレイ機能を備えた側面扉には「トヨタコンビニ」とあり、車内にはお菓子などが陳列された棚や、ドリンクなどが入った冷蔵庫が備わっているのが確認できる。

いずれも写真の公開のみで詳細な説明がないため、これらが運転席ありのタイプなのか、なしのタイプなのかは不明だ。

【参考】関連記事としては「トヨタ、コンビニ事業参入か 自動運転シャトル活用を示唆」も参照。

■まず次世代アリーナで?もしくは別の場所で?

最新のニュースでは、トヨタ自動車、トヨタ不動産、トヨタアルバルク東京の3社が協働して推進する「TOKYO A-ARENA PROJECT」のもと2023年7月に建設が始まった多目的次世代アリーナ「TOKYO A-ARENA(仮称)」のイメージ図にe-Paletteが登場している。

このアリーナの重点テーマの1つが「未来型モビリティサービス」で、「スポーツ応援シャトル」や「モビリティ海鮮市場」でe-Paletteが活用される可能性が高い。同アリーナは2025年秋の開業を目指しており、このタイミングでe-Paletteの定常運行がスタートするかもしれない。

運転席ありのタイプが用いられる場所はTOKYO A-ARENAが最初になるのか。または「2020年代前半に実社会でのサービス提供」としているので、同アリーナの2025年の開業より早く、別の場所での展開を計画しているのもしれない。引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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