自動運転ソフト開発のJ-QuAD、純利益40%増!第4期決算

自動車部品メーカー4社の技術・知見を結集



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

自動運転の統合制御ソフトウェア開発を手掛ける株式会社J-QuAD DYNAMICS(本社:東京都中央区/代表取締役:隈部肇)の第4期(2023年3月31日現在)決算公告が、このほど官報に掲載された。

当期純利益は、前期比40.2%増の4億7,498万円であった。これまでの当期純利益は以下のように推移しており、波はあるものの一貫して黒字であることが分かる。


<純利益の推移>
第1期:4億754万円
第2期:6億9,928万円
第3期:3億3,870万円
第4期:4億7,498万円

■決算概要(2023年3月31日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 2,396,913
固定資産 2,637,267
資産の部合計 5,034,181
▼負債及び純資産の部
流動負債 3,182,978
(賞与引当金 419,888)
固定負債 689
(退職給付引当金 689)
負債の部合計 3,183,667
株主資本 1,850,513
資本金 50,000
資本剰余金 50,000
資本準備金 50,000
利益剰余金 1,750,513
その他利益剰余金 1,750,513
(うち当期純利益 474,987)
純資産の部合計 1,850,513
負債及び純資産の部合計 5,034,181

■自動車部品メーカー4社の出資により設立

J-QuAD DYNAMICSは、デンソー65%、アイシン25%、アドヴィックス5%、ジェイテクト5%という自動車部品メーカー4社の出資により、2019年4月に設立された。自動運転・車両運動制御のための統合制御ソフトウェア開発やエンジニアリングサービスを手掛けている。

自動運転の実現には、クルマの「走る・曲がる・止まる」に関わるセンサーやステアリング、ブレーキを、より高度に連携させるための車両統合制御システムが必要になるという。


センシング技術に強みを持つデンソーとアイシンのほか、最高峰のステアリング技術を有するJTEKT、高い信頼性のブレーキ技術を誇るアドヴィックスという、各社の自動運転・車両運動制御などに関する技術や知見を高度に融合することを可能にしているという点が、J-QuAD DYNAMICSの強みだ。

出典:J-QuAD DYNAMICS公式サイト
■NTTデータの子会社や三井住友海上とも連携

J-QuADは次世代自動運転・先進安全支援領域におけるソフトウェア開発を強化するために、NTTデータ オートモビリジェンス研究所=ARC=に出資したことを2021年4月に発表した。また、安心で快適なモビリティ社会の実現に向け、自動運転・先進安全支援領域の開発環境の共同開発・研究において、J-QuAD、ARC、NTTデータが業務提携を結んだことを同時に発表している。

2023年4月には、三井住友海上火災保険と共に低速衝突被害軽減ブレーキ装置(低速AEB)の安全性について共同検証を開始することを発表している。J-QuAD DYNAMICSの低速AEBが搭載された対象車両の事故データをもとに、事故発生確率や事故の深刻度を統計化し、三井住友海上が事故分析レポートをJ-QuAD DYNAMICSに提供する。その後、J-QuAD DYNAMICSがさらに詳細検証を行い、低速AEBの機能向上や販売促進に活用していくという内容のようだ。

■自動運転分野への注力は必須

自動車部品メーカーにとって、次世代モビリティ技術の代表格とも言える自動運転分野に注力することは、将来を見据えた取り組みとしてはもはや必須のことと言える。4社が設立したJ-QuAD DYNAMICSが今後どのような動きを見せるのか、注目だ。


※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事