LiDAR開発を手掛る中国の「RoboSense」が、香港株式市場へ上場申請書を提出したことがこのほど明らかになった。香港メディアが報じている。
申請書類によると、RoboSenseのIPO前の投資家には、中国EC大手のアリババグループと、同グループ内で物流事業を手掛けるCainiaoが投資家として名を連ね、合計でRoboSenseの株式の11.03%を保有しているという。
【参考】関連記事としては「LiDARとは?(2023年最新版)」も参照。
■中国のLiDAR企業を代表するRoboSense
RoboSenseは、長年LiDAR技術研究に取り組んできたハルビン工業大学の博士らにより2014年に設立された。中国の深センに拠点を置き、北京と米シリコンバレーにも研究開発センターを持つ。
報道によると、同社の2022年の売上高は前年比60%増の約5億3,000万人民元(約106億円)、損失は26%増の20億9,000万人民元(約416億円)となっている。
今回の香港市場への上場により調達した資金の45%を、製品パイプラインの構築と強化を継続するための研究開発費や、研究開発を行うためのチーム拡大、ソリッドステートLiDARプラットフォームにおける既存LiDAR製品のアップグレードなどに投じる予定のようだ。
そのほかは、製造や試験、検証能力の強化、営業やマーケティング活動の強化、潜在的な戦略的パートナーシップを探るために充てられるようだ。
■日本ではZMPが取り扱い
日本では、ZMPがRoboSenseの3D−LiDARを取り扱っている。ZMPの公式サイトでは、RoboSenseの3D-LiDAR製品は、機械式のRS-Helios-16Pや5515、超高精細128レイヤーのRS-Ruby Plus、80レイヤーのRS-Ruby-80、自動運転車両の死角をカバーする超広角視野RS-Bpearl、研究開発向けに提供を開始したMEMS式LiDARがラインナップされている。
またZMPによる紹介によると、RoboSenceは世界中で600を超える特許を所有しており、MEMSや機械タイプのLiDARハードウェア、フュージョンハードウェアユニット、AIベースの統合システムなど、さまざまなSmartLiDAR認識システムソリューションを提供しているという。
■トヨタも採用するRoboSence製LiDAR
2023年2月には、トヨタ自動車の中国での合弁会社である一汽トヨタがRoboSenceのLiDARを採用するという発表があった。一汽トヨタが製造する複数のモデルに、「RS-LiDAR-M series(Mシリーズ)」が搭載されるという。
RoboSenseのIPOについては、2021年8月にも米国市場への上場を計画し、10億ドルの調達を目指していたことが報じられている。
今回香港市場へ上場することで、中国のLiDAR企業として同社が頭一つ抜ける事ができるのか、今後の動向に注目したい。
▼RoboSense公式サイト
https://www.robosense.ai/en
【参考】関連記事としては「トヨタ、複数モデルに中国RoboSenseのLiDAR採用」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)