米Knightscope(ナイトスコープ)が展開する自動運転警備ロボットは、5種類のセンサーにより、「警察官より鋭敏な五感」を有しているという。
高性能センサーにより映像や音声などを分析し、暴行や不法侵入などの犯罪行為や火災などを検知でき、米国内のさまざまな施設で実用化が進められている。どんなロボットなのだろうか?
■ナイトスコープの警備ロボットとは?
2013年設立のナイトスコープは、自動運転警備ロボ(ASR:Autonomous Security Robot)を開発するベンチャーだ。同社のロボットは自動運転技術やロボット工学、AI(人工知能)技術により、犯罪を予測・防止することができる。
ロボットには、LiDARやGPS、ソナー、IMU(慣性計測装置)、4Kカメラ、Hi-Fiオーディオなどが搭載されており、完全自動運転を可能にしている。さらに、人間の五感のように5種類のセンサーが搭載されており、周囲を監視することができる。このセンサーは、人間より鋭敏だという。
そのほか、過去に危険性を持つと認識された人物を記憶・認識する機能や、車のナンバープレートから部外者の侵入を識別するシステムも取り入れている。
音声機能を使用したブロードキャストを使うことで、安全を保った環境下で危険性のある人物との直接対話が可能な点も強みの1つだ。これまでは警備員が敵対人物に対して危険を冒してコミュニケーションを取らなければならなかった状況においても、自動運転警備ロボットを介して安全に交渉を行い、事態を収束させることができるという。
同社のロボット製品には、屋内または屋外で固定して使用する「K1」や、屋内向けの「K3」、屋内・屋外どちらでも使用可能な「K5」、さまざまな地形に対応可能な「K7」がある。空港やホテル、病院、学校、商業施設、物流施設、パーキング、公園など、多様な場所で活躍する。
■Vicorの高電力密度の電源を採用
自動運転警備ロボは高度なセキュリティ性能を有しているが、その一方で、センサーやインターネット通信、物理演算の処理などに高い負荷がかかっているのが現状だ。
本格的な実用化にあたっては、バッテリーの負担を減らし長時間の稼働を可能にする電力システムの導入が不可欠とされてきた。このような電力供給の問題を解消すべく、ナイトスコープは米Vicor Corporationの電源モジュールを採用したことを2023年4月10日付で発表した。
ロボットには構造上通気口などの空気の通り道が存在せず、従来のモデルは機体の温度が上昇しやすいという弱点を有していた。その問題を解決するため、高い放熱性能を持つVicor独自のChiPパッケージを採用したという。
このDC-DCコンバータモジュール「DCM3623」は放熱性の問題をクリアしているうえに、ノイズの影響を抑えることでバッテリー効率の向上などにも寄与している。
■今後さらにパワーアップ
「人間より鋭敏な五感」を有するという革新的な技術を有するナイトスコープの自動運転警備ロボは、Vicorの電源モジュール採用により、今後さらにパワーアップし普及していくことが予想される。特に警備業界の関係者にとっては注目すべきロボットと言えよう。
▼Knightscope公式サイト
https://www.knightscope.com/
【参考】関連記事としては「自動運転の警備AIロボット11選!空港で街で当たり前の時代へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)