移動革命!レベル4自動運転で「定路線運行」、10主体が計画

警察庁公表のヒアリング資料で明らかに

B!

2023年1月19日に警察庁が開催した「令和4年度自動運転の拡大に向けた調査検討委員会」の第2回の資料が公開されている。その資料のうちの1つである「国内ヒアリング回答結果」は関係者であればぜひ目を通しておきたい内容だ。

▼国内ヒアリング回答結果(概要)|警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/jidounten/r4_2_shiryo1.pdf

■26主体がADSを研究開発または一部研究開発中

このヒアリングは、自動運転レベル4の物流サービスや自家用車などを拡大するための検討を行う調査検討委員会の基礎資料とするために実施されている。

ヒアリング対象は国内・国外の自動車メーカーや国内・国外の自動車部品メーカー、大学・研究機関、運送事業者、その他道路管理者など計53主体に聴取し、うち34主体から回答を得たという。

「運転者の存在を前提としない(SAEレベル4相当の)自動運転の実現に向け、どのような取組をしていますか」という設問に対し、34主体のうち、26主体がADS(自動運転システム) を研究開発または一部研究開発していると回答した。

さらに、ADSを用いた物流サービスの運営を予定しているのは6主体で、ADSを用いた自家用車の販売を予定しているという回答は無しであった。そのほかのサービスを展開予定なのは1主体、ADSを用いたサービスや自家用車などの実現に向けて取り組んでいるのは5主体だった。

出典:警察庁資料(※クリックorタップすると拡大できます)
■2026〜30年度頃の市場化が半数以上

ADSやADSの一部の研究開発を行っていると回答した25主体での、ADSの研究開発の市場化の形態と市場への供給可能時期は以下の通りだ。

市場化の形態については、25主体のうち14主体が移動サービス、10主体が物流サービス、3主体が公共サービスなどその他のサービス、1主体が自家用車と回答した。なおこれは複数回答を含んでいる結果となっている。そのうち11主体が高速道路を走行するADSの開発を想定しているという。

市場への供給可能時期については、物流サービスや移動サービス、その他のサービスでの市場化を予定していると回答した主体の半分以上が、2026年〜2030年度頃の市場化を目指している。さらに、高速道路を走行するADSの開発を想定していると回答した主体の場合も、約半数が同じ時期の市場化を目標にしているという。

出典:警察庁資料(※クリックorタップすると拡大できます)
■移動サービス(定路線運行)の市場化、10社予定

続いて、「研究開発中のSAEレベル4のADS等は、どのような形態での市場化を予定していますか。可能な範囲で具体的な想定も御回答ください」という設問に対する回答についてだ。

物流サービスでの市場化と移動サービス(定路線運行)での市場化を予定している主体はそれぞれ10主体あった。物流サービスでは、自動運転宅配サービスと工場内搬送の自動化を想定しているという回答があった。

移動サービス(定路線運行)での具体的な想定は以下の通りだ。

移動サービス(定路線運行以外)での市場化を予定しているのは4主体で、具体的には自動運転タクシーサービスを想定している。

自家用車での市場化を予定しているのは1主体、公共サービスなどその他のサービスでの市場化を予定している主体は3主体だった。なお市場化の形態は供給先に依存すると回答したのは11主体であった。

出典:警察庁資料(※クリックorタップすると拡大できます)
■包括的な理解に役立つヒアリング資料

今回のヒアリング結果は、国内における技術の開発状況や日本企業の方向性を包括的に理解する上で非常に役に立つ。自動運転レベル4の実現に向け、国における制度などについての議論も一層活発になり、法整備・ルールなどがスピード感を持って制定されていくことを期待したい。

※自動運転ラボの資料解説記事は「タグ:資料解説|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事