国際市場調査会社の米SDKIはこのほど、自動車用インフォテインメント市場に関する最新レポートを発表した。
2022年時点の市場規模は210億ドル(約2.7兆円)で、2035年には450億ドル(約6兆円)規模まで拡大するという。2023〜2035年の年平均成長率(CAGR)は11.5%と推測している。
SDKIが自動車用インフォテインメント市場の成長を促進すると指摘している要因が、自動車生産台数の増加のほか、クルマに搭載されるスマートテクノロジーへの需要の高まりや、自動車におけるIoT(Internet of Things)の巨大な需要などだ。
日本に関しては、2023年4月の道路交通法改正で自動運転レベル4の交通手段が認められることに触れ、「自動車用インフォテインメント市場の成長をさらに後押しする」と分析している。
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■GPSへの依存度の高まりなどが成長要因
SDKIは、クルマに搭載されるスマートテクノロジーへの需要の高まりについて、自動車においてGPS(全地球測位システム)への依存度が高まっていることなどを実例として挙げている。
自動車用インフォテインメントにはナビシステムも含まれ、ちなみに2022年のナビシステムの市場規模は139億ドル(約1.8兆円)だったが、2032年には304億ドル(約4兆円)規模まで拡大するという。
今後、自動車業界の大手企業が関連する技術の研究開発投資を増やすことも、市場規模の拡大に寄与するとしている。
■自動運転高度化で「成長抑制要因」が1つ消える
一方、自動車用インフォテインメント市場の成長を抑制している要素もあるという。その一つが安全性への懸念だ。SDKIは「自動車用インフォテインメントがドライバーの注意力を散漫にし、誤操作につながることもある」としている。
確かに、完全自動運転が実現するまでは基本的には人間が運転の責任を持たなければならないため、インフォテインメントシステムによる過剰なドライバーへの干渉は、運転の安全性を低下させる恐れがある。
ただし、自動運転技術が高度化して人間が運転に関与しなくてもよくなければ、こうした懸念はなくなる。そのため、自動車用インフォテインメント市場の成長を抑制している要素の1つがなくなり、より同市場の拡大が加速していくことになりそうだ。
■可処分時間とインフォテインメント
自動運転時代になれば、ドライバーだった人の「運転していた時間」がそのまま「自由時間」(可処分時間)になるため、その可処分時間に注目したインフォテインメント関連ビジネスが盛り上がるとみられる。
いまからこの点に目をつけておけば、うまく商機を掴める可能性もありそうだ。今後の自動車用インフォテインメント市場の動向に、引き続き注目してほしい。
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