自動車メーカー大手の米GM(ゼネラル・モーターズ)は、開発中の次世代ADAS(先進運転支援システム)「Ultra Cruise」の詳細をこのほど明かした。運転シナリオの95%をハンズフリーで走行可能なADASだという。
ちなみに同社は2017年にADAS「Super Cruise」を発表しているが、量販車向けにSuper Cruise、プレミアムエントリー車向けにUltra Cruiseを設定していくことが2021年10月に発表されていた。
■Ultra Cruiseで95%がハンズフリー可能に
Ultra Cruiseは、2023年12月から生産開始されるキャデラックの最高級EV(電気自動車)「セレスティック」に搭載されるという。
Ultra Cruiseには700万〜800万画素のロングレンジカメラが搭載されており、交通標識や信号機、他の車両、歩行者を検知可能だ。また車両の4隅に設置された短距離レーダーは、半径90メートル以内の物体を検知する。車両の前後に設置された3つの4D長距離レーダーは、車両の速度に対する物体の位置や方向、高さを検知することで、高速道路でのアダプティブクルーズコントロール(ACC)の速度管理や車線変更操作などを行う。
またLiDARにより、悪天候でも周辺状況を正確に検出できる。これらのセンサー群により、車両の周囲360度を見渡すことができるという。
さらに、ステアリングコラムの上部に設置された小型カメラにより、赤外線を用いてドライバーの頭の位置や視線を監視し、注意喚起を行う「Driver attention system」や、Qualcommが開発したSoC(システムオンチップ)を採用したコンピューター・アーキテクチャーを搭載した「Compute platform」といった機能がある。
これらにより、最終的には運転シナリオの95%がハンズフリーを実現するという。
■自動車業界の主戦場はADAS
今回詳細が発表されたUltra Cruiseは、ハンズフリーが可能なADASと区分されるようであることから、自動運転レベルにすると「レベル2」もしくは「レベル2プラス」に相当すると考えられる。
近年は「自動運転」の技術に注目が集まっているが、量産車に最も多く搭載されているのはADASだ。そのため各自動車メーカーのADASの性能・評価は各社の現在の売上にダイレクトに反映される。
GMはCruiseを通じて自動運転事業を展開しているが、ADASに関する技術情報からも目を離すわけにはいかない。
【参考】関連記事としては「GMのセミ自動運転機能「Super Cruise」、アップグレード&搭載拡大」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)