自動運転×交通管理AIに商機!新興AI transportationに注目

画像解析技術で車両情報をトラッキング

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出典:AI transportation公式サイト

自動運転分野での活躍を期する新たなAI(人工知能)スタートアップに注目が集まりそうだ。スマート交通ソリューションの開発を手掛けるAI transportation(本社:東京都板橋区/代表取締役:山本一輝)が、スマートシティや次世代交通を視野に入れた新たなサービス開発に力を注いでいる。

自動運転開発に必須のAI技術だが、自動運転を外部から補完したり道路交通を安全・円滑に導いたりする技術・サービスも進化の余地が大きく、AI技術を応用することでさまざまなアプローチが可能となる。

AI transportationはどのようなアプローチを仕掛けているのか。同社の取り組みに迫る。

■AI transportationの概要
AI画像分析技術で交通のスマート化にアプローチ

AI transportationは、自動運転の社会実装をミッションに掲げ、AIの画像分析技術を武器に交通分野でさまざまなソリューションを展開しようと誕生したスタートアップだ。AI技術の多角的事業化を目指す2019年設立のAriceのグループ会社として2022年に設立された。

安全な車両運転や車両管理を実現するAI交通システムの開発・提供を事業としており、車両センシングAIや車両管理AI、簡易信号変換AI、侵入検知カメラなどのサービスを展開している。

2023年2月には、スマートシティ事業拡大に向け一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアムへ入会したことを発表した。スマートシティ技術を開発するためのプラットフォームを活用し、地域や行政、他の参加企業と協力して持続可能な都市環境実現に向けた取り組みを推進していくとしている。

▼交通管理AIを提供するAI Transportation、スマートシティ事業へ拡大
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000115546.html

代表取締役を務める山本一輝氏によると、同社のAIシステムは都市内のさまざまなデータを収集・分析することで、都市の交通流やエネルギー使用量、水の消費量などを最適化することができるという。

また、犯罪予測システムの開発や自動運転技術の導入など、AIシステムを活用することで都市の安全性を向上させることもでき、特に道路環境のシステム化は、自動運転車の安全性を向上させるために重要としている。

例えば、自動運転車が急停止を行う必要がある場合、AI技術を駆使することで、周囲の車両や歩行者に対して適切な情報を伝えることができる。自動運転において道路環境のシステム化は非常に重要で、安全かつ効率的な運行に欠かせない要素となっている。

同社は、AI技術を武器にスマートシティ実現に向けた取り組みを推進するとともに、自動運転をはじめとした交通分野に着目した事業展開を推し進めていく構えだ。

出典:AI transportationプレスリリース
■AI transportationのソリューション
車両センシングAI

防犯カメラなど道路周辺に設置されたカメラ映像をもとに車両情報をトラッキングし、安全性の向上や道路インフラの効率化を図ることができる。

速度超過車両の自動検知や、指定場所を通過した多種の車両数計測、逆走検出、渋滞検出などを行うことができる。雨や雪といった視界不良時においても画像を鮮明化して晴天時と変わらず検出可能で、異常検出時に即時通知する外部連携APIなども提供している。

車両管理AI

法人車両を一元管理し、現場のデータを整備することで車両管理を自動化し、トラック運送業などの労働生産性の向上を実現する。

例えば、物流倉庫や工場などの入り口に設置したカメラで車両のナンバープレートを検出し、即時・定時に管理システムへ連携することができる。センサーでETC番号を検出することや、車両重量計と連動させることなども可能という。

簡易信号変換AI

信号機にAIカメラを付帯することで交通量を自動でコントロールする技術で、車両感知センサーで交通流を把握し、交通量に応じて赤・青時間を自動的に調整するなど最適な信号切り替えを行うことで車両の流れをコントロールし、円滑な交通流を実現する。

アナログな信号機にデバイスを付帯するだけで利用可能で、通常運転モードや手動運転モードなどに切り替えることもできる。

侵入検知カメラ

防犯カメラにAIを付帯することで危険検知を素早く実行し、管理者へ自動通知して迅速な処理を可能にする。

危険エリアへの侵入自動検知や不法侵入の自動検知をはじめ、道路や建築の老朽化の検知を自動化することでインフラのライフサイクルコストの低減や効率的で持続可能な維持管理を実現することもできる。

■道路交通のスマート化とAI

自動運転システムの開発以外でも、AI技術の活躍が大きく広がり始めている。ラストワンマイルに特化したAIルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」を展開するオプティマインドは、ティアフォーなどが開発を進める自動配送ロボットの実証にパートナー企業として参画し、ルート最適化技術の応用を進めている。

AI transportationのソリューションのように、AIを活用した信号制御に取り組む事例も増加しているようだ。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業のもと、UTMS協会と住友電気工業がAIを活用した信号制御システムの開発を進めており、岡山県内で実証に成功している。英アストン大学もビジョンベースで自律制御を行う信号制御システムの開発を進めているという。

■【まとめ】道路交通のDX化においてAIが大活躍

従来のアナログ的存在だった道路交通において、自動運転をはじめとするスマートソリューションを導入していく動きは今後活発化していくものと思われる。その過程において、AIが活躍する余地は存分に残されている。

アイデア次第で世界共通の社会課題を解決に導くことができるかもしれず、そこには大きなビジネスが眠っている。さらなるAI開発企業の新規参入に期待したいところだ。

【参考】関連記事としては「打倒テスラのTURING、完全自動運転へ「AI信号認識」技術」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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