米EV(電気自動車)大手のテスラが、同社のADAS(先進運転支援システム)である「FSD(Full Self-Driving)」という名称を使えなくなったら、代わりにどんな名前をつけるだろうか。
…というのも、米カリフォルニア州が2023年の年初に、「部分的な自動運転を完全自動運転」とうたうような、いわば詐欺にもなりそうなマーケティングを避けるよう求める新たな法律を施行したためだ。
アメリカでこの種の規則が施行されたのは初めてのことで、消費者の誤解や混乱を防ぐために作られた。
■テスラはFSDの名称を今後も使う?
新しく施行された法律は、2022年9月にカルフォルニア州知事により署名された。車両メーカーやディーラーに対し、マーケティング資料で「部分的な自動運転化機能」または「運転操作の一部を自動化する機能」を持つ車両を、「自動運転車」として機能すると消費者を信じさせる表現を禁じ、部分的な自動運転の機能とその限界の明確な説明も求めている。
FSD(Full Self-Driving)という名称を使用すること自体が新法に違反していると考えられるが、テスラはこれまでその規則を無視し続け、カリフォルニア州の顧客に自社車両を売り込んでいる。
Forbesの取材によると、米カリフォルニア州の道路管理局(DMV)は2022年7月に、誤解を招く「FSD(Full Self-Driving)」と「Autopilot(オートパイロット)」に関する広告を告発しているという。
ワシントンに拠点のあるChamber of Progressketchによれば、カリフォルニア州のマーケティング規則に違反すると、1つ違反するごとに最高で250ドル(約3万2,000円)の罰金が科される可能性もあるようだ。
同社は、テスラがマーケティングの表現を改めることなく、カリフォルニア州での2023年上半期の販売台数が2022年同時期と同等に達した場合には、最大で4,500万ドル(約57億円)の罰金になると試算している。
■新名称は「テスラ2.0」「プレFSD」?
FSD(Full Self-Driving)とオートパイロットは、実際の機能は自動運転レベル2相当のADASとなっている。現在自動車業界で各社がレベル2に使用している呼称には、どんなものがあるのだろうか。
たとえば、トヨタの「Toyota Safety Sense」やレクサスの「Lexus Safety System+」、「Teammate」、日産の「プロパイロット」、ホンダの「Honda SENSING」、スバルの「アイサイト」、マツダの「i-ACTIVSENSE」などだ。
このような名称を参考に新たに名付けるとすると、「Tesla Assist System」、「Tesla Safety System」、「Tesla Sensing」などが思いつく。一方で、新しい発想の名前もありうるだろう。たとえば、「Perfect Car」「Future Car System」「Tesla 2.0」、「プレFSD」などだ。
さて、テスラCEOのイーロン・マスク氏は今後どのように動くだろうか。弊メディアの予想は当たるか?
【参考】関連記事としては「テスラの有料ソフト「完全自動運転(FSD)」、名称禁止に?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)