動き出すトヨタのWoven City!2022年は「水素」な1年

日清食品やリンナイと取り組みスタート



出典:トヨタプレスリリース

トヨタが静岡県裾野市で建設中の実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」は、2024年の第1期開業へ向け建築工事が進んでいる。そして開業前の現在でも、トヨタはWoven Cityに関するさまざまな取り組みを進めている。

「自動運転」などの先進モビリティ技術に関する取り組みはまだ情報は出てきていないが、SDGs(持続可能な開発目標)に関わる取り組みは先行して積極的に前進させているように映る。2022年はどんな活動を行ってきたのか、いくつかを振り返ってみよう。


■With 日清食品:完全栄養食メニュー

トヨタとウーブン・プラネット、日清食品は、食を通じたWell-Beingの実現に向けた実証を行っていくことを2022年4月に発表した。Woven Cityで、日清食品が研究を進める最新の分子栄養学に基づく「完全栄養食メニュー」を提供するなど、一人ひとりに最適な「おいしいと健康」を目指していくという。

具体的には、「完全栄養食メニュー」の提供を通じた住民の食の選択肢拡充と健康増進の共同実証や、個々人に最適な「完全栄養食メニュー」の提供に向けたデータ連携を行うという。

■With ENEOS:水素サプライチェーン

トヨタとウーブン・プラネットは、ポータブル水素カートリッジのプロトタイプを開発したことを2022年6月に発表した。この水素カートリッジは、手軽に水素を持ち運べ、生活圏の幅広い用途での水素エネルギーの使用を可能とする。

両社はカーボンニュートラル実現に向け、水素を有力な選択肢の1つと位置付けているという。石油元売り大手のENEOSと共に、水素の「つくる」「運ぶ」「使う」という一連のサプライチェーンの実証をWoven Cityやその近郊で行う予定だ。


なおトヨタとENEOSは、二酸化炭素フリー水素の製造と利用を共同で推進するため、共同開発契約を締結したことを同年3月に発表している。Woven Cityで実証を進めるパートナー企業として、1社目に名乗りを上げたのがENEOSであった。

■With リンナイ:水素調理

トヨタとトヨタ子会社のウーブン・プラネット、リンナイは、新たな水素の用途の1つとして、水素を燃焼させて行う調理(水素調理)についての共同開発をスタートさせたことを2022年10月に発表した。

Woven Cityなどでの実証を通じ、調理時に二酸化炭素を排出しない水素調理の安全かつ効率的な燃焼方法を検討し、水素調理が食材に与える味や風味などへの効果を科学的に検証していく。水素の用途拡大と、水素による「新たな食の体験」創出に向け、共同で水素調理の可能性を模索していくとしている。

すでにリンナイは、給湯分野で水素100%燃焼による技術開発に成功しており、そのノウハウを水素調理にも応用していくようだ。


■2023年は自動運転関連の発表も!?

2024年の開業を目指すのであれば、Woven Cityにとって2023年は今年に増して重要な1年となりそうだ。自動運転関連の発表も出てくるはずだ。引き続き、注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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