アメリカにおける上場には、いわゆる「普通の上場」と「SPAC上場」がある。自動運転関連企業のほとんどはSPAC上場だ。しかし、SPACとの合併によって上場する場合、売上がない状態でも上場できることから、上場後に株価が低迷する「SPACショック」が起きている。
一方、米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は2022年10月26日に上場したが、これはSPAC上場ではなく「普通の上場」であるIPO(新規株式公開)であった。
つまり、モービルアイは普通の上場、言い換えれば「ちゃんとした上場」とも言え、ほかの自動運転銘柄よりも今後の株価の上昇に期待が持てるかもしれない。
【参考】関連記事としては「時価総額3.4兆円!Mobileye上場38%高、Intel系自動運転企業」も参照。
■2022年最大規模の米国上場案件
モービルアイは、IPO(新規株式公開)の実施によって資金調達をする計画を2021年末に発表していた。米国の株式市場の相場環境が悪化したことから、2022年7月に上場延期が決定された後、同年10月に米ナスダック市場に上場した。ティッカーシンボルは「MBLY」だ。
結果的に、モービルアイの上場は2022年の米国上場案件で最大規模となり、初値は公開価格の21.00ドルを上回る26.71ドルで、初日の終値は公開価格を約38%上回る28.97ドルだった。終値ベースの時価総額は230億ドル(約3兆4,000億円)となった。
ちなみにモービルアイは2014年に米ニューヨーク証券取引所に上場済みだが、インテルに買収されたことで上場廃止になった経緯がある。
■SPAC上場した自動運転関連企業
これまで多くの自動運転関連のスタートアップ企業がSPAC上場を果たしている。
皮切りになったのは、LiDAR開発の米Velodyne Lidar(VLDR)で、2020年にSPAC上場した。同じくLiDARを開発する米Luminar Technologies(LAZR)も同年に上場している。2021年11月には、トヨタと提携している自動運転開発企業の米Aurora Innovation(同:AUR)が米ナスダックにSPAC上場した。
これらの企業の将来性に大きな期待をかけている投資家は多いが、現状、株価は低迷している状況だ。アメリカ市場全体が株安傾向であったことも要因の一つだが、下落幅は突出して大きい。
■モービルアイのアウトパフォームは確実?
「ちゃんとした上場」を果たし、2022年の米国最大の上場案件となったモービルアイ。SPAC上場した企業の株価の推移を今後アウトパフォーム(※株価の上昇率が上回ること)していくのだろうか。
▼Mobileye公式サイト
https://www.mobileye.com/
※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。
【参考】関連記事としては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)