東京都が本気だ!「観光型MaaS」に最大4,000万円助成

多摩での取り組み支援、来年1月18日まで募集



東京都の小池百合子知事=出典:東京都ウェブサイト

東京都は2022年11月10日までに、「観光型MaaS導入・拡充支援助成金」の募集を開始することを発表した。多摩地域での観光型MaaSの導入や拡充に関する取り組みを支援するもので、助成金は2年間で最大4,000万円のようだ。

助成事業がスタートすれば、コロナ禍により人が遠のいていた観光地に新しいイノベーションが起きるきっかけとなるかもしれない。ちなみに募集期間は2023年1月18日までとなっている。


▼令和4年度「観光型MaaS導入・拡充支援助成金」のご案内
https://www.tcvb.or.jp/jp/news/2022/1028_4906/

■観光客の利便性や回遊性の向上を図る

観光型MaaS導入・拡充支援助成金は、多摩地域における観光客の利便性や回遊性の向上を図るため、観光型MaaSの導入や拡充に関連する取り組みを支援することを目的にしている。

助成対象は市長村や観光関連団体、民間事業者で、2件が選定される。システム開発・改修・運用費やシステム使用料、広告・宣伝費、効果検証費用などが助成金の対象事業となる。

助成対象期間は交付決定日から2024年3月31日までで、2年間の支援を前提としているが、2年目については再度募集と審査が行われ、1年目に採択されたとしても2年目も支援を約束するものではないという。


助成率は、1年目は助成対象経費の3分の2以内で最大2,500万円、2年目は2分の1以内で限度額1,500万円となっている。つまり、2年間で最大4,000万円ということだろう。

■応募条件は?「全てを満たすことが条件」

応募は、多摩地域における観光型MaaS導入・拡充事業において、下記の条件全てを満たすことが条件となる。

  • 観光振興を図ることを目的とし、観光客の利便性や回遊性の向上につながると見込まれること。
  • 地域の観光課題を踏まえ、地域の関係団体や事業者等と効果的に連携して実施する取組であること。
  • 観光客を対象としたサービスを実際に提供すること(実証実験も可。システム開発のみの事業等は不可)。
  • 十分な効果検証・成果分析を行い、助成対象期間内又は終了後に地域での自走を目指すこと。

選定は、東京観光財団が書類での1次審査を行い、審査委員会がプレゼン方式の2次審査を行う。企画内容や経費の妥当性、実現可能性、継続性が重視される。

■観光型MaaSの振興につながる助成金

同事業では、MaaSを「地域住民や旅行者1人1人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスのこと」と定義している。


そして観光型MaaSは「MaaSのうち、主に観光客を対象として、地域の公共交通や観光施設・商業施設等と連携して提供するサービスのこと」としている。

検索・予約・決済機能が統合されれば、観光客にとっての利便性は確実に向上する。しかし新たな挑戦には「お金」がかかるものだ。助成金事業がスタートすることで、こうした取り組みに挑戦するハードルが下がれば、観光型MaaSの振興につながりそうだ。

【参考】関連記事としては「MaaS解説(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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