米ラスベガスに拠点を置くスタートアップ企業が、2022年後半に革新的なカーシェアリングサービスの展開をスタートする。カーシェアを予約した時間に、「運転席に誰も乗っていない自動車」が利用者のもとに届くというサービスだ。
なぜ運転席に誰も乗っていない自動車が利用者のもとまで移動できるのだろう。その疑問に対して、多くの人が「自動運転車だからだ!」と推測するかもしれない。しかしそれは正解ではない。
正解は、Halo Carの運転手が遠隔センターからその自動車を遠隔運転するからだ。つまり、自動運転とは全く異なる仕組みで、Halo Carは「運転席に誰も乗っていない自動車」を利用者のもとに届ける仕組みを構築するというわけだ。
■創業者はUberの自動運転部門出身
通常、カーシェアの利用予約をすると、自動車が駐車されている場所まで利用者が出向かなければならない。この行為を面倒に思っている人は少なくないはずだ。Halo Carはこの面倒くささを無くすことにビジネスチャンスを見出した。
実はHalo Carの創業者であり現CEO(最高経営責任者)のAnand Nandakumar氏は、かつてはUberの自動運転部門Advanced Technologies Groupで働いていた。その際、自動運転技術の普及には少なくとも10年以上がかかると感じ、当面は遠隔運転にこそ商機があると考えた。
記事冒頭で紹介した今年後半に展開予定のサービスは、すでにサービス実証が実施されており、多くの投資ファンドや著名投資家から注目を集めている。シードラウンドでは、新たに500万ドル(約7億2,000万円)の資金調達を行ったという。
ちなみに利用者がカーシェアを利用し終えたあとは、どこで乗り捨てても大丈夫な仕組みのようだ。そのあとはHalo Carの遠隔運転ドライバーが、その自動車を遠隔運転して車両の待機場所まで移動させるからだ。
また、遠隔運転には次世代通信規格「5G」が利用され、遠隔地からもほぼタイムラグなしで自動車を操作することが可能だという。
■「人の行く裏に道あり花の山」
いまモビリティの世界では「自動運転」にかなりの注目が集まっているが、Halo Carのように「遠隔運転」の仕組みを使ってビジネスを展開するというアプローチも存在している。
話は少しずれるが、株式投資の世界には「人の行く裏に道あり花の山」という格言がある。多くの人が選ぶ行動と逆の行動をとることで利益を得ることができる、といった意味だ。
Halo Carはまさにこうした姿勢でビジネスを成功させようとしていると言える。「多くの企業が自動運転に注目しているいまこそ遠隔運転に商機あり・・・」と創業者のNandakumar氏は感じているはずだ。
【参考】関連記事としては「ソフトバンク、5Gによる「遠隔運転」の実証実験 自動運転の補完的役割としても注目」も参照。