狙いは?LiDAR企業の米Ouster、人員を10%レイオフ

売上は40%増、収益性向上ねらう

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出典:Ouster公式サイト

LiDARを開発している企業は、もはや珍しい存在ではない。業界では老舗の部類に入るVelodyine Lidar、若手社長が事業を引っ張るLuminar Technologies、VWから大型契約を獲得したInnoviz Technologiesなど、多くの有望企業・ベンチャーがすでに事業を展開している。

Ouster社もその1社だ。米カリフォルニア州に拠点を持ち、同社のプレスリリースによると、50カ国に600社以上の顧客をすでに有しているという。ニューヨーク取引所への上場を経て存在感も高まっており、ライバル企業と今後繰り広げるシェア争いに注目だ。

そんなOusterが、約10%の人員削減を行うことが発表された。この人員削減を通じ、事業全体の支出を15%程度圧縮させる計画だという。一般的にレイオフと聞くと、経営状況に対する懸念の声があがりやすいが、同社の経営は厳しいのか。

■レイオフは収益性を高めるためのもの

そこまでネガティブにレイオフの発表を捉える必要はないかもしれない。米メディアの報道によると、今回のレイオフは収益性を高めるためのもので、収益性を高めつつ高性能な製品を顧客に提供し続けていくという。

自社の現在の立ち位置については「市場のリーダーとして台頭するのに十分なポジション」(OusterのCFOであるAnna Brunelle氏)にいると認識しているようだ。

ちなみにOusterの2022年第2四半期(2022年4〜6月)の売上高は、前年同期と比較すると40%増となっており、金額ベースでは1,030万ドル(約15億円)を計上している。売上を堅調に伸ばしている格好だ。

ただし、第2四半期の純損失は2,800万ドル(約40億円)に上っており、同社は2022年の通期の収益見込みを、前回予想の6,500万〜8,500万ドルから4,000万〜5,000万ドルに引き下げていることも、知っておきたい。

【参考】関連記事としては「顧客600社の米新興LiDAR企業Ouster、日本で事業拡大へ」も参照。

■顧客獲得へ、激化するPR合戦

LiDAR開発企業にとっての客は、主に自動車メーカーだ。その自動車メーカーは世界に無尽蔵にあるわけではなく、中でも大手といえば数十社に限られる。いまそれらの大手自動車メーカーからLiDARの供給契約を獲得しようと、開発各社が躍起となってPR合戦を繰り広げている。

最近ではInnoviz Technologiesが、VWに続き、アジアの自動車メーカーとも契約したことが発表された。売上を伸ばしているOusterもどこまで事業を拡大していけるか、注目だ。

【参考】関連記事としては「メーカー・車種別のLiDAR供給元一覧(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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