物流MaaS、さらに前進!鍵は「見える化」&「自動荷役」

経済産業省プロジェクト、実施者決まる



見える化・自動荷役などによる輸配送効率化によって、物流MaaSの実用化・定着はさらに加速し、社会課題の解決や物流の付加価値が向上するはずだ。そのための実証実験も始まる予定で、経済産業省が2022年6月に公募を開始してプロジェクト実施者も決まった。


プロジェクト実施者となったのは、三菱ロジスネクストとNEXT Logistics Japanだ。

▼物流MaaSの実現に向けた研究開発・実証事業(見える化・自動荷役等による輸配送効率化)
https://maas-logistics-koubo2022.jp/
https://maas-logistics-koubo2022.jp/files/sentei2022_shiryo1.pdf

■「物流2024年問題」の対応策

経産省は2020年4月に物流MaaSの実現像を取りまとめ、これまで「トラックデータ連携の仕組みの確立」「見える化・混載による輸配送効率化」「電動商用車活用・エネマネ検証」の3つのテーマにおいて実証や検討、検証を進めてきた。

なかでも「見える化・混載による輸配送効率化」が、「物流2024年問題」の対応策になるとして、「結節点や貨物における各種データの可視化や、結節点内のシームレスなデータやオペレーションの連携の実現」や「積付・積卸荷役の業務革新を通じたドライバー不足への対応策」の取り組みを進める事業者の実証を2021年度同様に実施することとなった。


物流2024年問題とは、主に自動車運転の業務の時間外労働が年間960時間と上限規制されることで生じる、ドライバーの離職や配送コストの値上げなどのことだ。

■見える化と自動荷役の検証
出典:プロジェクトサイト/日本工営(※クリックorタップすると拡大できます)

三菱ロジスネクストは「IT事業者・保険会社等との連携による運行品質向上モデルの構築」として、2つを検証する。1つ目は「IoTセンサー等による荷役作業の可視化」だ。昨年度の取り組みに加えて、ドライバーへのウェアラブル端末データやフォークリフトのIoTセンサーデータを分析して、車両やヒト、貨物の状況把握をして荷役作業の品質とコスト、納期の改善を検証する。

2つ目は「事故要因モデル(FT図)の定着に向けた課題検証」だ。昨年度に作成した、故障や事故の分析をから同じ問題が繰り返されないよう予防するために視覚化したFT図モデルを実務展開して、各シーンにおける課題や効果を検証していく。さらに、インカメラやシート型のバイタルセンサーで事故要因を事前把握し検証する。

NEXT Logistics Japanは「幹線スキームによる省人化、環境負荷低減、働き方改革の実現」として2つの検証を行う。1つ目は「荷役の自動化」で、実装でのオペレーションと性能を検証することで、機器連携における自動荷役の課題を抽出する。荷役精度や荷役時のサイクルタイム、人員の省人化を検証する。


2つ目は「荷姿の統一による積載率の向上」で、荷高さを統一したり天面をそろえたりするなど実運行で高積載するための要件や課題を抽出し、最適パターンや積載率、CO2削減効果を検証していく。

■輸配送効率化が大きな鍵に

物量が増えている一方で人員不足が大きな課題となっている物流業界。物流2024年問題に対応するには、見える化や自動荷役など輸配送効率化が大きな鍵となりそうだ。

【参考】関連記事としては「物流MaaSの先行実証、2021年度の7事業者を選定!経産省が発表」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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