空飛ぶクルマ、軽量化・高強度の両立に「東レ」が貢献

SkyDrive、「材料適合性試験」をスタート



空飛ぶクルマや物流ドローンの開発で注目を集める株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)は2022年7月27日までに、型式証明申請中の2名乗り空飛ぶクルマ「SkyDrive式SD-05型機(SD-05)」に関し、「材料適合性試験」をスタートしたと発表した。


高度な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用品を開発する東レ・カーボンマジック株式会社(本社:滋賀県米原市/代表取締役社長:奥明栄)=TCM=とともに実施するという。TCMの高度な炭素繊維強化プラスチックが、空飛ぶクルマの軽量化と高強度の両立に貢献するようだ。

■軽量化と高強度の両立を実現

SkyDriveはTCMとの材料適合性試験を進めて型式証明を取得し、2025年に大阪のベイエリアでSD-05を使ったサービスをスタートさせることを目指している。2名乗り空飛ぶクルマを実現するには機体の軽量化が最重要で、TCMが持つ設計・製造技術力が極めて有効だという。

両社はこれまで「軽くて・強い」CFRPでの空飛ぶクルマの構造について、議論と試作を積み重ねてきたようだ。


ちなみにCFRPとは、プラスチック(樹脂)を母材に、強化材としてカーボンファイバー(炭素繊維)が加えられたものだ。炭素繊維には高剛性や高強度、導電性、耐熱性、低熱膨張率、自己潤滑性、X線透過性といった特徴を備えている。

この特徴を生かせば、軽量化や大型・小型化、省エネ化の実現が期待できると、多様な用途で使われている。

■レーシングカー開発で培ったTCMの技術

TCMはレーシングカー開発で培った設計技術力や試作提案力、高精度オートクレーブ生産技術で、市場からの高評価を得ている。自動車以外の分野でもCFRP部品を多く開発しているという。

SkyDriveの代表取締役CEOである福澤氏は「東レ・カーボンマジック様の高度な炭素繊維強化プラスチックは、当社の二人乗り機体『SD-05』には欠かせない要素」とした上で、「今回の材料適合性試験を端緒に、今後も軽くて強い空飛ぶクルマの機体構造開発を一緒に推進し、エアモビリティ社会の実現を目指していく」と述べている。


■【まとめ】空飛ぶクルマと物流ドローンの両方で注目

空飛ぶクルマの型式申請で日本第1号となり注目を集めたSkyDrive。2025年の空飛ぶクルマのサービス実用化に向け、一歩ずつ事業を進めている。

同社は2022年5月に物流ドローン新サービス「SkyLift Plus」の提供開始も発表している。SkyLift Plusは、物流ドローン「SkyLift」を顧客が使用する際、運用に関する各種業務をワンストップで担う運用支援サービスだ。

空飛ぶクルマと物流ドローンの両方で注目を集めるSkyDriveの動向に、引き続き注目していきたい。

【参考】関連記事としては「SkyDriveは空飛ぶ車だけじゃない!物流ドローンで新事業」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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