米EV(電気自動車)メーカーのテスラが2020年に提供を開始した高度運転支援システム「FSD」のβ版。このFSDのβ版による「自動運転」の累計走行距離が3,500万マイル(約5,600万キロ)に到達したことが明らかになった。
■FSDのβ版の使用オーナーは10万人以上
テスラによれば、FSDのβ版を自身が所有するテスラ車に搭載しているオーナーは10万人以上に上る。
テスラはFSDのβ版による走行データをFSDの技術の進化に活用しており、現在はFSDでは完全自動運転はできないものの、将来は必ず実現すると、同社を率いるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は公言している。
ちなみにマスクCEOは先日開催された決算説明会で「They’re very happy with the capability of the system」(オーナーたちはシステムの能力に非常に満足している)と述べている。
さらにはこの累計走行距離に関して、「ほかのどの企業よりも自動運転距離が長く、ほかの全ての企業を合わせた距離よりも多い可能性がある」と自信を見せている。テスラが2022年末までに「累計1億マイル」を目指しているという報道もある。
■マスク氏「物事が止まってしまっている」
ただしテスラに関しては、最近、同社の先進運転支援システムである「オートパイロット」を設計したアンドレイ・カーパシー氏が退社することが明らかになっており、同氏はFSDの技術開発にも深く関わっていたことから、FSDの開発の遅れを懸念する声が上がっている。
マスク氏は決算説明会で「アンドレイが1人で全てのコードを書いていたから、物事が止まってしまっている」とジョーク混じりに語っているが、内心はかなり焦っているのだろうか。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術」も参照。