「自動運転は不安」「黒字化に壁」 離島×自動運転・MaaSの課題は?

2021年度のスマートアイランド実証結果から

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国土交通省の「スマートアイランド実証調査事業」の2021年度の結果がこのほど公表された。公共交通の維持や観光客の足の確保に関する課題が少なくない日本の離島。同事業には自動運転やMaaSに関する取り組みも含まれており、自動運転ラボも注目してきた。

この記事では、同事業における自動運転やMaaSに関する取り組みとして、佐久島の自動運転パワースクーターと似島のグリーンスローモビリティの実証の結果を紹介する。

■佐久島の自動運転パワースクーター

愛知県西尾市の佐久島では観光客ではなく島民を想定し、1人乗りの自動運転機能を備えた電動パワースクーター(免許返納後も運転可能)の実証が行われた。

現在バスやタクシーが走っていない佐久島。島内の主要な目的地が集落から1.0〜1.5キロの範囲にあるため、高齢者のパワースクーターでの移動に適していることなどが確認された。集落内で最大の傾斜である17度の坂道や狭い道も支障なく通行できたという。

一方で、自動運転の安全性に対して不安を感じるという声もあったようだ。自動運転の技術レベルの向上をさせつつ、住民の心理的な抵抗感をどう解消するかがポイントとなっていきそうだ。

出典:国土交通省公式サイト(※クリックorタップすると拡大できます)
■似島のグリーンスローモビリティ

広島県広島市の似島では島民と観光客向けに2カ月間、4人乗り・7人乗りのグリーンスローモビリティを定時定路線形式とオンデマンド形式で試験運行した。

試験運行に際しては、島民へのアンケートにより経路や時間帯を検討し、高齢者や観光客にとって使い勝手のいいワンプッシュ配車システムを開発し、検証した。

実証では島内266人を含む延べ414人が利用し、島民のおよそ7割が「今後も導入すべき」と回答したという。島外利用者の満足度も高かったようだ。定時定路線とデマンドの利用状況を比較すると、デマンド運行が優位だった。

一方で、グリーンスローモビリティになじみがなく、今回利用をためらった島民も一定数いたという。また、1回200円という想定運賃のみでは黒字化は難しいことも分かった。マネタイズに向けたさらなる検討が求められそうだ。

出典:国土交通省公式サイト(※クリックorタップすると拡大できます)
■見つかった「課題」は広く共有されてこそ・・・

実証で見つかった「課題」は、次世代モビリティサービスの実用化とマネタイズに向けて、非常に貴重なものだ。そしてこうした課題が広く共有されることは、離島ならびに離島以外で次世代モビリティサービスを手掛けている企業・事業体にとってもプラスとなる。

2021年度のスマートアイランド実証調査の結果は以下から確認できる。

▼2021年度スマートアイランド実証調査
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chirit/content/001476558.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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