次世代高速道路を目指すための打ち手として、東日本高速道路(NEXCO東日本)はこれまでに108の項目を抽出し、発表している。自動運転に対応した高速道路を実現することを狙った項目も多く、一読の価値がある内容だ。
例えば、打ち手の1つとして「自動運転料金」を挙げている。「自動運転車両の普及のため、自動運転車両利用に対し柔軟な料金設定を行う」という内容だ。
自動運転車に対する「規制速度の上限緩和(120km/h以上)」も打ち手の1つだという。「自動運転車両等に限定し、規制速度の上限を緩和する」という内容だ。
このNEXCO東日本の108の打ち手は、以下の資料から確認することが可能だ。
▼自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)
https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/cms_assets/pressroom/2021/04/28c/01.pdf
■通行止め中でも自動運転ならOK?
このほかにも興味深い打ち手がある。たとえば「緊急時の自動運転運用」だ。自動運転車が手動運転車よりも安全に走行できるという前提の下、降雨・降雪などによって高速道路の通行止めを実施する際、自動運転車両は通行止めの対象から除外するとしている。
「車線幅員の狭小化」では、自動運転車両の普及を念頭におき、幅員を狭小化し、高速道路構造のスリム化を図る。 自動運転だと走行中の左右のふらつきが少なくすみ、道路の幅を狭くしても問題が起きない、という理屈だろうか。
自動運転車の走行ではなく、自動運転車を活用した「点検の自動化」も目指すという。「高速道路版ドクターイエロー」として、道路の状況を確認する自動運転点検車を導入する方針のようだ。
ドクターイエローとは、新幹線の線路を点検・検査するための車両の通称で、車体が黄色であるためドクターイエローと呼ばれている。このドクターイエローと同じような役割を果たす自動運転車を、高速道路に導入しようという考えのようだ。
■自動運転はまず高速道路からスタート
自動運転はまず高速道路から始まる。歩行者などがおらず、一般道に比べて道路構造がシンプルだからだ。ホンダが2021年3月に発売した新型LEGENDには、渋滞時の高速道路で利用可能な自動運転レベル3の機能がすでに搭載されている。
こうした潮流の中、NEXCO東日本はこの記事で紹介したような打ち手に1つずつ取り組んでいくようだ。進捗に注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転、公道(一般道・高速道路)でいつから可能に?(2022年最新版)」も参照。