いすゞ自動車グループのUDトラックスと神戸製鋼所は2021年11月18日までに、レベル4自動運転トラックの共同実証実験を行うことに合意したと発表した。
自動運転レベル4(高度運転自動化)とは、限定領域内において緊急時でも運転手が対応せず、全ての運転操作をシステム側が行う段階のことを指す。言い換えれば、限定領域内における完全自動運転、ということだ。
2022年下半期をめどに、UDトラックスが開発したレベル4の自動運転技術搭載の大型トラックの走行実験を神戸製鋼所の加古川製鉄所で行い、スマート物流サービスと製造・物流現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進を目指すという。
実証実験では、加古川製鉄所内の運搬コースの一部分のルートにおいて、UDトラックス製造の大型トラック「クオン」をベースとした自動運転レベル4対応車両1台を用いて、自動運転の走行実験を行う。
■「風神雷神ビジョン」掲げ、次世代技術の開発に注力
UDトラックスは、物流業界が直面するドライバー不足や環境対応といった課題解決に向け、自動化・電動化といった次世代技術開発に注力している。
2018年4月に発表した次世代技術ロードマップ「Fujin & Raijin(風神雷神)―― ビジョン2030」では、最終目標を「自動運転」「フル電動」の大型トラックの量産化としており、先進的な物流「スマートロジスティクス」の開発などを目標に掲げている。
2019年8月には日本通運やホクレンとともに、北海道の公道を含むルートで実証実験を行い、自動運転技術搭載の大型トラックが運搬業務を想定したルート(公道、舗装道路、未舗装道路を含む)約1.3キロを時速20キロで走行した。
一方、神戸製鋼所も中期経営計画において、デジタル化によるものづくり・業務変革などDX戦略に注力し、各製造拠点に関しては最新のデジタル技術を駆使した物流などのプロセス制御自動化・効率化によるものづくり力向上を推進している。
■自動運転技術による人手不足問題の解決に期待感
流通・サービス業界では長らく労働力不足が課題となっており、これまでのサービス水準を維持するのが難しくなっているのが現状だ。さらにドライバー不足は物流業界だけの問題ではなく、製造業界も同様の問題を抱えている。
こうした中、政府は自動運転技術の活用による課題解消に向けて「官民ITS構想・ロードマップ」を策定しており、物流サービスにおいては、高速道路におけるトラックのレベル4自動運転を2025年以降に市場化する目標を立てている。
製造業界や物流業界の人手不足問題は待ったなしの状況であることもあり、UDトラックスと神戸製鋼所の今回の取り組みの成果には注目が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義や呼称、市販車の車種は?できることは?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)