経済産業省は国土交通省と合同で、日本における「空飛ぶクルマ」の実現に向けて、官民の関係者による「空の移動革命に向けた官民協議会」を2018年8月から開催している。
本記事では、2020年6月の第6回協議会で提出された資料で説明されている空飛ぶクルマの実装イメージに触れていく。約1年前の資料だが、空飛ぶクルマの開発にさらに熱が入り始めている今、読み返す価値が十分にあるものだ。
▼空飛ぶクルマの社会実装に向けた論点整理
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/006_01_00.pdf
記事の目次
■空飛ぶクルマの実装イメージはどのようなものか?
空飛ぶクルマは「災害時」「事業利用」「個人利用」の3つの実装イメージがあると、資料では説明されている。
災害時:「物資輸送」や「人員輸送」で活躍
災害時は、被災地への「物資輸送」や医師や被害者の「人員輸送」で空飛ぶクルマが活躍するようになるという。これは現在でもヘリコプターで行われていることなので、イメージしやすいだろう。
災害時に空飛ぶクルマが活躍すれば、自然と社会受容性も高まっていくことが考えられ、さまざまなシーンでの空飛ぶクルマの普及を後押しすると考えられる。
ちなみに人員輸送では、空飛ぶクルマの想定仕様としては、機体重量150~500キロ程度、乗員数1~2人、飛行速度100~150キロ程度、飛行距離30~70キロ程度と説明されていることも興味深い。
事業利用:「荷物配送」や「旅客輸送」で活躍
事業利用では「荷物配送」や「旅客輸送」などが、主な例として挙げられている。
荷物配送で空飛ぶクルマが活用されれば、物流は今より効率的になるはずだ。空中を移動できるため、マンションのベランダに直接荷物を届けてくれるといったことも夢ではないかもしれない。
荷物搬送のための空飛ぶクルマの想定仕様としては、機体重量136キロ+積載重量キロ、飛行速度120キロ、飛行時間30分、飛行距離56キロ程度、と説明されている。
旅客輸送のための空飛ぶクルマの想定仕様としては、機体重量500~2,000キロ程度、乗員数2~5人、飛行速度100~320キロ、飛行距離30~240キロ、と説明されている。
個人利用:「移動手段」や「エンターテインメント」で活躍
個人利用としては、「移動手段」や「エンターテインメント」として空飛ぶクルマが活用されることが考えられる。
移動手段としては、プライベートジェットのような感覚でいつでも気軽に移動できるようになるはずだ。また、空飛ぶクルマを趣味として楽しむ富裕層も出てくるはずだ。
■【まとめ】想定されるユースケースも具体的に
空飛ぶクルマはすでに映画の中の話ではない。実際に開発が進められ、想定されるユースケースも具体的になってきた。空飛ぶクルマのための法整備やインフラ整備に関する議論も進められており、新たな移動手段・物流手段として空飛ぶクルマが活躍する日も近い。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。