工場や倉庫における作業の省人化・無人化において、近年は「AGV」(自動搬送ロボット)の導入が加速しており、開発を手掛けるベンチャー企業も国内・国外問わず増えている印象だ。
この記事ではAGVの基礎知識について解説していき、似た概念として登場する「AMR」についても説明していく。
<記事の更新情報>
・2024年4月23日:関連記事を追加
・2023年7月5日:AMRに関する情報を追記
・2020年9月21日:記事初稿を公開
記事の目次
■AGVとは?
AGVとは「Automatic Guided Vehicle」の略で、日本語では「自動搬送ロボット」や「無人搬送車」と略される。
日本工業規格(JIS)はAGVのことを「一定の領域において、自動で走行し、荷など人以外の物品の搬送を行う機能をもつ車両で、道路交通法に定められた道路では使用しないもの」と定めている。
【参考】関連記事としては「AGV(無人搬送車)開発、国内市場を制する企業は!?有望8社を紹介」も参照。
■AGVの3つの分類
AGVは自動走行方式によって、「経路誘導式」「自律移動式」「追従式」の3つに分類される。
経路誘導式(path guide)
経路誘導式は英語では「path guide」と表現され、経路に沿って設置した誘導体によって無人搬送車を誘導する方式のことを指す。この場合に使用される誘導体は「磁気テープ」「光反射テープ」「電磁誘導ケーブル」などだ。
自律移動式は英語では「self-navigation」と表現される。無人搬送車自体が自己位置推定機能や走行制御機能などを有しており、JISでは「軌道、誘導体、人の操縦などがなくても目的地へ移動する方式」と説明されている。つまり誘導体は必要としない。
この誘導体を必要としない自律移動式のAGVのことを一般的に「AMR」(Autonomous Mobile Robot)と呼ぶ。AMRもAGVと同様、「自動搬送ロボット」などと呼ばれることが多いが、AGVが誘導体を必要とするのに対し、AMRは必要としないことをしっかりと理解しておこう。
追従式(target guided)
追従式は「target guided」と英語で表現される。自律移動式の一種という位置付けではあるが、先行する特定の人や車両などに追従する形で移動する。
■ほかの分類方法も
AGVにはほかの分類方法もある。「積載形」「けん引形」「フォークリフト形」の3つだ。
積載形(loader type)
積載形は英語では「loader type」という表現となる。JISでは「荷を無人搬送車上に載せて搬送するもの」と定義されている。
けん引形(tractor type)
けん引形は「tractor type」と英語では表現される。JISでは「荷を積む台車またはトレーラをけん引して搬送するもの」と定義されており、台車の下に潜り込むようなタイプもこの分類に含まれる。
フォークリフト形(fork lift truck type)
フォークリフト形は「fork lift truck type」と英語で表現する。JISの定義をそのまま引用すると「積載形の一種であり、移載のためのフォークなど及びそれを上下させるマストを備え、それらによって搬送するもの」とされている。
■【まとめ】AMRへの注目度高まる
AGVに関しては、経路誘導式のAGVは導入が比較的容易で、導入事例は多い。一方で、自律移動式のAMRの方が工場内のレイアウト変更などにも対応しやすいといったメリットがあり、開発に力を入れているロボットメーカーが増えている印象だ。
(初稿公開日:2020年9月21日/最終更新日:2024年4月23日)
【参考】関連記事としては「無人倉庫の鍵は「自動運転ロボット」 世界と日本の最新状況まとめ」も参照。