JAL、無人ヘリの目視外飛行で貨物輸送!将来は自動運転化!?

「空飛ぶクルマ」と並行して注力か



出典:日本航空プレスリリース

日本航空株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長:赤坂祐二)は2020年2月27日までに、長崎県の自治体などの協力のもと、県内の離島空港間(往復約46キロ)において無人ヘリコプターによる貨物輸送実験を実施したと発表した。無人ヘリコプターによる目視外飛行での輸送としては国内初の実験だという。

2月18日に実施された実験では、保冷容器に医薬品を想定した模擬貨物を入れて冷温を保ったまま、上五島空港と小値賀空港の間を無人ヘリコプターで輸送した。







また翌日の2月19日には、無人ヘリコプターによる離島間輸送(約35キロメートル)と日本航空便での航空貨物輸送を組み合わせ、長崎県新上五島町で朝収穫された鮮魚を同日内に東京都内のレストランまで輸送することにチェレンジした。

今回使用した機体はヤマハ発動機が開発した産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」(最大積載量35キロ・最高速度72キロ)。なお、海上飛行は静岡県のヤマハ発動機都田事業所から衛星通信経由で遠隔操作を行い、離陸・着陸時は現地で操作を行った。

実験当日の映像からは、安定した飛行で対象物を運ぶ無人ヘリコプターの様子がみれとれる。

■無人ヘリと2つの将来的な可能性

無人ヘリコプターには将来的に2つの可能性が考えられる。1つ目は「遠隔操作」から「自動飛行」に進化する可能性だ。自動車用の自動運転技術が開発されているのと同様、空でも自動化が将来的に促進される可能性は大いにある。

2つ目は無人ヘリが「空飛ぶクルマ」と並行して開発が進んでいく可能性だ。空飛ぶクルマは無人ヘリよりも小型で飛行経費が安いため、軽量商品の配送でも採算がとれやすい。そのため、商品輸送を請け負う企業がこの無人ヘリと空飛ぶクルマの両方を有していれば、商品の大きさや重さに合わせて使う機体を分けることができる。

日本航空はこれまでCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタルファンド)の「Japan Airlines Innovation Fund」を通じて空飛ぶクルマの開発企業に出資するなど、無人ヘリと空飛ぶクルマの両方に関心を寄せていることが分かる。

将来の空の主導権は日本航空が握ることになるのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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