「MaaS」はモビリティ業界にとって、2019年の注目ワードだった。そして2020年以降もこの流れは続く。
フィンランド発祥の「Whim」に代表されるMaaSサービスは、複数の異なる移動手段を一つのプラットフォームで検索・予約・決済できるものとして成功を収め、日本でもこうした形態のサービスが実証実験という形で既に一部で提供され始めている。
こうした中で注目されているのが、将来的にMaaSサービスで世界のトップシェアを握っているのはどの企業か、という点だ。既に各国で成功を収めているWhimなのか、それとも日本の企業なのか、欧米の企業なのか…。
■Googleが公開したブログ記事から感じる可能性
こうしたことを考えたときに有力候補の一つとして挙げられるのが、GAFAの一角であるGoogle(グーグル)だ。Googleは地図サービス「Googleマップ」を通じて世界各国で経路検索サービスを提供しており、このサービスが「MaaS」へと昇華していく可能性が考えられるからだ。
Googleが2020年2月7日に公開したブログ記事「Googleマップのこれからの15年を考える」からも、その可能性を感じる。そのブログ記事の中に下記の一文がある。
異なる移動手段をつなげて到着時間を表示することで、よりシームレスなユーザー体験を得られるようにすることが、Googleマップの次の課題のひとつです。
これはまさにMaaSにおける「検索・予約・決済」の第1ステップに相当する。あとは、「予約」と「決済」ができるようになれば、Googleマップは「Google MaaS」として機能するようになるはずだ。
■Googleへのイグジットを狙いシステム開発する企業も?
Googleマップの利用者は既に世界中にいる。そのためMaaSサービスのシェア獲得に向けては、いまはまだユーザーを獲得していない企業が新たにMaaSを展開するよりも、圧倒的に優位性な立場にある。
優れたMaaSサービスのシステムを構築した企業をGoogleが買収することも考えられる。GoogleがかつてYouTubeを買収したように。こうした視点で言えば、Googleへのイグジット(会社売却)を目的にMaaSサービスを立ち上げるスタートアップも出てくるかもしれない。
【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。