空飛ぶゴンドラ開発のエアロネクスト、1億円赤字も人命救う 最新決算

ドローンの実用化進める注目ベンチャー



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

エアモビリティ「空飛ぶゴンドラ」の開発などを手掛ける株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区/代表取締役:田路圭輔)の最新の決算(2024年3月現在)が、官報に掲載されている。

当期純損失は9,960万円であった。約1億円の赤字だが、モンゴルでのドローン配送で人の命を救う実績があり、社会貢献度が大きい取り組みを行っているベンチャーだ。


過去の純損益の推移は、以下の通りとなっている。なお7期までは、12月末が決算日となっている。

<純損益の推移>
・第4期:▲1億7,875万4,000円
・第5期:▲1億8,587万円
・第6期:▲2億3,979万3,000円
・第7期:▲1億3,345万5,000円
※▲はマイナス

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■決算概要(2024年3月31日現在)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 224,605
固定資産 23,621
資産合計 248,226
▼負債及び純資産の部
流動負債 46,516
固定負債 160,472
株主資本 41,237
資本金 130,225
資本剰余金 1,085,249
資本準備金 1,085,249
利益剰余金 △1,174,237
その他利益剰余金 △1,174,237
(うち当期純損失)(99,607)
負債・純資産合計 248,226

■注目のテクノロジースタートアップ

出典:エアロネクスト公式サイト

2017年設立のエアロネクストは、産業用ドローン関連技術のライセンス事業や産業用ドローンの共同開発事業を手掛ける企業だ。「新しい空域の経済化」をビジョンとし、ドローンを活用することで150メートルの高さまでの3次元空間の経済圏を整備することを目指している。


具体的には、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる機体構造設計技術「4D GRAVITY」の開発などを行っている。またこの技術を特許化し、4D GRAVITY特許ポートフォリオとして管理し、技術とブランドを4D GRAVITYライセンスパッケージとして提供する技術ライセンス事業を手掛けている。

またACSLと4D GRAVITY搭載の日本発の量産型物流専用ドローンを共同開発済みだ。これを導入することにより、既存業務の危険作業の代替や将来的な人手不足の解消、省人化・無人化を実現することが可能になるという。

2021年にはドローン配送サービスを主事業とする戦略子会社「NEXT DELIVERY」を立ち上げ、ドローン配送を組み込んだ新スマート物流のしくみ「SkyHub」の実証や実装などに取り組んでいる。

エアモビリティの新コンセプト「空飛ぶゴンドラ」も2019年10月に発表し、同年12月に米国で初公開している。


出典:エアロネクスト社プレスリリース

■モンゴルでのドローン配送で人の命を救った

日本で物流事業者やドローン関連事業者、自治体と組んで実証実験や実用化を進めるエアロネクストだが、モンゴルでのサービス実装も行っている。

JICAの支援を受けながらモンゴルでSkyHubの調査を行うことを2023年3月に発表した。モンゴルの首都ウランバートルは、慢性的な渋滞、不十分な道路インフラ整備の状況のため、物流網が脆弱で救急車通行が妨げられる場合もあり、医療だけでなく経済活動にも悪影響が出ているという。

このエアロネクストは、モンゴル現地の事業者や団体と連携し、ドローンを活用した新スマート物流SkyHubの事業化に向けた調査・仮説検証を行っていく。

2024年8月からは、国立輸血センターからウランバートル市内の3つの病院への血液のドローン配送の実運用がスタートしている。これにより、緊急対応の輸血用血液輸送で2名の命が救命されたこともあった。

出典:エアロネクスト公式プレスリリース

▼モンゴルでの取り組み — もともと、海外展開は重要戦略のひとつ|エアロネクスト公式ブログ
https://aeronext.co.jp/blog/mongolia_globalstrategy/

同年11月に、モンゴル科学技術大学と4D GRAVITY技術に基づく新型ドローン機体の空力に関する共同研究を開始した。また2025年1月には経済産業省の補助金において、エアロネクストの「モンゴル国/ドローンを組み込んだスマート物流の標準化実証事業」が採択されたことを発表した。これにより、モンゴルでのSkyHubの実装をさらに加速し、ドローンを組み込んだスマート物流の都市型モデルの構築を推進していく。

また交通渋滞が深刻化するなど、類似課題を抱える新興国の他都市へ展開する可能性についても検証を行っていくという。

■「空」を舞台にしたエアロネクストに注目

「空」を舞台に物流の実用化を推し進めるエアロネクスト。同社の今後の取り組みにも注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。




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