子ども専用相乗りタクシー配車アプリ開発を手掛けるhab株式会社(本社:神奈川県横浜市/代表取締役:豊田洋平)は、合計5,000万円の資金調達を実施したことをこのほど発表した。
Link Capital合同会社を引受先とするJ-KISS型新株予約権発行により3,000万円、日本政策金融公庫の資本性ローンにより2,000万円という内容で、調達した資金はプロダクトのさらなる改善と人材強化に投じ、さらなる事業推進を行っていくという。
■「子どものための公共交通」の確立目指す
2022年8月設立のhabは「誰もがやりたいことをあきらめない世界を」をビジョンに、スクールシャトルシェアリングにかかわる各種アプリケーション開発事業を行っているベンチャーだ。
シャトル運行システム「hab」は、地域の習い事に通う子どもが相乗りして目的地へ移動することができる次世代の移動ソリューションだ。同社は、シャトル運行にかかわる各種アプリ・運行システムの開発を手掛けている。
このシステムの活用により、地域の公共交通事業者や習い事事業者、NPOなど、さまざまなステークホルダーとの子育て支援エコシステムを構築し、地域全体で「子どものための公共交通」の確立を目指している。そして、安全かつ効率的な移動を実現することで、子育て中の保護者の日常的な負担を軽減し、親も子どもも自己実現に向き合える環境をつくっていくという。
2024年11月には、habを主幹事企業とした新たなコンソーシアム「こどものみらい共創プラットフォーム」を設立した。官民が連携して子どもの送迎問題を解決するため、横浜市での社会実装を目指していく。
■子ども専用の相乗りタクシー配車アプリ
habはテクノロジーを活用した新しいタクシー送迎サービスだ。地域の家庭の送迎環境に合わせてAI(人工知能)が運行ルートを毎月作成し、子どもがタクシーに相乗りして習い事や病院といった目的地へ行くことを可能にしている。
タクシーは信頼できる地域の交通事業者へ委託しており、全国子育てタクシー協会の研修を受けた「子育てタクシードライバー」が対応する。以下、利用の流れについて説明する。
最初にLINEを登録し、親子の情報を入力、子どもに紐づける施設情報や希望する停留所の場所・時刻のリクエストも登録する。その後、登録施設へユーザー情報を照会し、利用承認される。
登録したリクエストを基にルートやダイヤを作成し、LINEで作成完了通知が来る。事前に登録した日時・曜日・施設・乗降希望場所に合わせておすすめのルートが提案され、希望の日時・停留所を選択し、予約完了となる。乗車代金は、決済サービス上でクレジットカードで支払う。なおこどもタクシーチケットを選択することで、総額から値引きされるという。
乗車の際、子どもは指定の停留所に集合し、乗車カードを車内端末にタッチしてタクシーに乗り込む。子どもが乗車するとLINEで乗車完了通知が来て、保護者は通知内のリンクから車内画像・タクシー位置情報を確認できる。
所定の停留所に着くとドライバーが端末で子どもを確認し、声がけして降車を促し、子どもは所定の場所にカードをタッチしタクシーから降りるといった流れになっている。
ドライバーの他に、横浜市シルバー人材センターに委託したサポートスタッフが乗車し、子どもの乗降をサポートしている。習い事教室まではサポートスタッフが連れて行く。また帰りの降車場所には保護者が待機する必要がある。
■ますますの事業拡大に期待
現在、habは横浜市のキッズアカデミーやサッカースクール、東京都江東区のサッカースクールの送迎に実装されている。
今回出資を行ったLink Capital合同会社は、プレシード・シード期のスタートアップのファーストラウンドに投資を行うベンチャーキャピタルだ。代表の青野佑樹氏は「送迎負担という身近な課題の裏には、人材不足、女性の社会進出、子どもの体験格差など、さまざまな社会課題が複雑に関係しあっている」とした上で、habには「これらの課題を解決し、子育て環境や女性の働き方、子どもの放課後の在り方、ひいては日本を変革する可能性があると感じている」とのコメントを寄せている。
核家族化が進み、また両親の共働きが多くなっている現在、子どもの安心・安全な移動の問題に取り組むhabの今後ますますの事業拡大に期待したい。
【参考】関連記事としては「子どもの習い事にもMaaSを!変わる送迎のあり方」も参照。