自動運転ロボ開発のスマートロボティクス、純利益1,400万円確保

企業からの依頼や協業で多数の開発実績



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

自動運転配送ロボットの開発などを手掛ける株式会社スマートロボティクス(本社:東京都千代田区/代表取締役:齋藤拓哉)の第8期決算(2022年12月31日現在)が、このほど官報に掲載された。

当期純利益は、前期比44.6%減の1,414万円だった。第6期からの損益は以下のように推移している。


<純利益推移>
第6期:618万円
第7期:2,556万円
第8期:1,414万円

■決算概要(2022年12月31日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 219,871
固定資産 81,743
資産の部合計 301,615
▼負債及び純資産の部
流動負債 219,796
受注損失引当金 954
固定負債 13,600
株主資本 68,219
資本金 59,000
資本剰余金 50,000
資本準備金 50,000
利益剰余金 △40,780
その他利益剰余金 △40,780
(うち当期純利益 14,149)
負債及び純資産の部合計 301,615

■ロボット開発で「困りごと」にアプローチ
出典:スマートロボティクス公式サイト

2016年設立のスマートロボティクスは「だれもがロボットを使いこなし、社会全体へ浸透する未来を実現する」をビジョンに、社会の困りごとの解決に力を入れている企業だ。

ロボット関連製品開発・販売のほか、ロボット・IoT機器の開発、ロボット技術導入コンサルティングなどを手掛けている。


開発サービスにおいては、ロボットやIoT機器の開発において、ハードからソフトまで縦断開発経験のあるエンジニアが設計から製造までワンストップで対応する。具体的には、機械・機構設計や筐体設計、電子回路設計、プリント基板設計、組み込みソフトウェア、動力学制御、画像処理ソフトウェア開発、学術論文からの実装を手掛けている。

これまでに、屋内での自律走行型搬送ロボット(AMR)や屋内外の自律走行型清掃ロボット、物流倉庫向けのピッキング支援ロボット、物流用ドローンと連携する地上配送ロボット(UGV)などの開発実績がある。企業の研究開発部門や新規事業部門から依頼を受けているようだ。

■自社開発の搬送ロボ「SR-AMR150」

スマートロボティクスが開発し、2022年4月に販売を開始した自律走行型搬送ロボット「SR-AMR150」は、横46×縦65×高さ35センチのコンパクトサイズながら最大150キロの重量物を搬送できる。搬送作業の完全自動化が難しく、ロボット専用の走行路の確保が難しい中小工場や物流倉庫、医療機関、福祉施設など向けに「人とすれ違うことができるサイズ」を実現したという。


このロボットは、本体のセンサーと3Dカメラが自己位置と障害物を検出して自律走行する仕組みになっている。既存設備との連携や荷台のカスタマイズ、ロボットアーム連携、大型荷台の牽引といったカスタムにも対応しているようだ。

■企業や自治体との協業も

スマートロボティクスは長谷工コーポレーションと共同で、マンション建設現場向け清掃ロボ「HRX スイーパーS HIPPO」を開発し、試作機の運用を開始したことを2022年9月に発表した。約70平方メートルの住戸であれば、1時間で約90%を自動清掃できるという。

また同年10月には、ドコモビジネスソリューションズ神奈川支店と共に、感染対策に有効な「ハイブリット型案内ロボット」を開発していることを発表した。これは神奈川県の令和4年度新型コロナウイルス感染症対策ロボット開発支援事業に採択されたものだ。

この案内ロボットは、各種施設での受付業務や館内案内の自動誘導のほか、ロボットが対応するには難しい部分は、遠隔操作で人が対応できる機能を導入しているという。さらに、来場者の挙動や目の動きをAI(人工知能)カメラで察知し、アプローチして話しかける機能や、性別やおおよその年齢を判断し大型ディスプレイで的確な案内や広告宣伝ができる機能も搭載している。

■今後も順調に事業拡大か

2023年4月には「第97回日本感染症学会総会・学術講演会」に出展し、殺菌灯搭載ロボット「SR-UVC」を展示した。自律走行かつ遠隔操作可能のため、感染リスクがある部屋に人が入ることなく除菌作業を行うことができるロボットとなっている。全国の医療機関で導入されているようだ。

企業からの開発依頼や協業が多数あることから、スマートロボティクスの技術力が高い評価を受けていることが分かる。今後も順調に事業を拡大していくことが予想される。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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