病院内で医療従事者が関わる業務の一つに、患者が車椅子を利用する際に付き添うことがある。患者が1人でクルマ椅子で移動できない場合、サポートを必要とすることなどが理由だ。
こうした医療従事者の負担が今後少しずつ減っていくかもしれない。「自動運転クルマ椅子」が病院内で実用化・普及すれば、患者が行くべき場所にクルマ椅子が自動で連れてってくれるようになるからだ。
こうした未来が具体的にイメージされるプレスリリースがこのほど発表された。発表したのは2015年創業のベンチャー企業のWHILLだ。
■医療従事者の負担軽減を目指す
同社はプレスリリースで、「主に医療機関などにおいて患者さんの負担を軽減しながら快適に移動できるWHILL自動運転サービスの普及に向けた実証事業を開始する」と明らかにした。帝人とタッグを組も、2024年3月末にかけて実証事業を展開する。
「WHILL自動運転サービス」とは、パーソナルモビリティに自動運転機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」を使った移動サービスのことだ。実証の目的としては、患者の移動をサポートすることはもちろん、冒頭触れたように、看護師などの医療従事者の負担を軽減することもある。
WHILLは現在の病院が抱えている課題の1つとして「時間や労力の面で医療従事者に負荷が生じており、人的資源を診療に集中しづらい」ことを指摘している。確かに医療従事者としてのスキルを最大限生かすことを考えるなら、移動のサポートではなく、看護や診察などに多くの時間が割かれるべきだろう。
■患者の移動のハードルも下がる
そして、医療従事者だけではなく、患者にとっても移動のハードルも下がる。病院によっては施設がとても広く、病室から診察室や検査室への移動に大きな負担を感じている患者は少なくない。
ちなみにWHILLは空港でもWHILL自動運転サービスの展開をスタートさせており、同社製品・サービスの活用の場はどんどん広がってきている印象だ。病院での実用化も進んでいくか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「世界初!WHILLの自動運転車いす、エレベーターと連携」も参照。