東急が横浜市とともに進めている「次世代郊外まちづくり」がさらに加速することになりそうだ。東急バス株式会社(本社:東京都目黒区/取締役社長:古川卓)と、東急株式会社(本社:東京都渋谷区/取締役社長:髙橋和夫)はこのほど、多摩田園都市エリアにおいて、自動運転モビリティの実証実験を実施することを発表した。
■「次世代郊外まちづくり」とは?
「次世代郊外まちづくり」とは、住民参加型の課題解決プロジェクトだ。
2012年4月、横浜市と東急は「『次世代郊外まちづくり』の推進に関する協定」を締結した。プロジェクトでは、田園都市線沿線にある大都市近郊の郊外住宅地が抱える課題を、行政や大学、民間事業者、住民が連携して解決していく。なお、協定は2017年と2022年の4月に更新されている。
■2022年度中に第1弾、第2弾を実施予定
東急バスは警察や関係者との協議を含め、実証全体の取りまとめを行う。東急は自動運転システムを提供し、走行調整を担うという。今回の実証は第1弾となり、横浜市青葉区で実施される。第2弾は2023年2〜3月ごろに実施予定で、第1弾の検証結果を踏まえた上で遠隔監視設備を設置し、一般客 の試乗会も実施する。
東急は2020年から静岡県内をメインに、遠隔監視型の自動運転技術の実証を行ってきた。今回の実証ではそのノウハウを活用するようだ。起伏が多く、高齢化が進み、働き方の変化により「移動」ニーズが多様化している多摩田園都市エリアにおいて、細やかな「移動」サービスを提供すべく、4つの項目を検証予定だ。
第1弾・第2弾では、共通して2項目を検証する。1つ目は「『移動』に関する新たなニーズへの対応」だ。既存のバス路線が運行していないエリアを補う形での活用や、自動運転車両による移動サービスの可能性を探る。
2つ目は「一般車両との協調による安全な運行の実現」だ。最高時速19キロの自動運転車両が、交通量の多い道路や狭い道路を運行する際、一般車両と協調運行できるかを検証する。
第2弾では、新たに2項目を検証する。1つ目は「遠隔監視による安全な運行の実現」だ。運行中の自動運転車の車内外を遠隔から監視し、安全確認に必要な視認性の情報について、車両側と遠隔側で相違がないかを調べる。
2つ目は「車内への案内システムの設置による乗客とのコミュニケーション円滑化」だ。自動運転システムと連携した案内システムを車内に設置し、従来の路線バスの乗務員が実施している乗客への「行き先や次のバス停の案内」業務を自動で実施するという。
■「次世代郊外」が全国に拡散していく?
大都市近郊の郊外住宅地において、自動運転車両を活用し、細やかな「移動」サービスを提供していく「次世代郊外まちづくり」プロジェクト。横浜での実証を経て、似た課題を抱える全国の郊外地域へ広がっていくことに期待したい。
【参考】関連記事としては「MaaSレベルとは? 0〜4の5段階に分類」も参照。