国立研究開発法人「情報通信研究機構」(NICT)は2022年4月13日までに、ドローン同士がそれぞれの位置情報などを地上の操縦者やネットワークを経由せず、直接通信できるシステムを開発したことを2022年4月13日までに発表した。
このシステムを応用し、自動追従群飛行と自律接近回避の実証実験に世界で初めて成功したという。こうした技術は物流用ドローンや空飛ぶクルマの実用化においても有用な技術と考えられる。広く注目を集めそうだ。
■ドローン同士の相互連携を可能に
今回開発したのは、ドローン同士が920MHz帯の電波を利用して相互にブロードキャスト通信を行い、GNSS(衛星測位システム)で得られた位置情報を共有する「機体間通信システム」だ。このシステムを各ドローン上で飛行制御装置に接続することで、ドローン同士の相互連携を可能にした。
実証実験では開発したシステムを応用し、先導するドローンに3機のドローンが一定の間隔で追従して編隊飛行させることと、同一の空域に4機のドローンが飛行しても自律的に相互の接近を回避することに成功した。
同システムはドローン間だけではなく、ドローンと有人ヘリコプターとの間でも利用できるといい、実証実験でその検証も行われたという。
ちなみに今回の研究開発の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2017年度から進める「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」内のプロジェクトとして実施された。
▼ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100080.html
■今後はさらに多くのドローンを同一空域内で
報道発表によれば、今後はさらに多くのドローンが同一の空域内を飛行する場合に対応した通信制御方式や飛行制御方式について検討していくという。また、飛行環境に応じた編隊にするなどの群飛行技術や通信技術の高度化を進め、実用化に向けていくという。
今後もNICTの取り組みには注目していきたい。
【参考】関連記事としては「ドローンの「自律飛行レベル4」が広げる新ビジネスの可能性」も参照。