農機の世界最大手ディア、「完全自動運転型」の量産スタートへ

2022年後半に市場大量投入



出典:Deere & Companyプレスリリース

世界最大の農機メーカーの米Deere & Company(ディア・アンド・カンパニー)は2022年1月10日までに、完全自律走行型のトラクターを市販向けに量産する予定であることを発表した。世界最大の技術見本市「CES 2022」での記者会見で明らかにされた。

ディア・アンド・カンパニーは農機ブランドとして「John Deere(ジョン・ディア)」を展開しており、量産される予定なのはジョン・ディアの「8R」。市場への投入時期は2022年後半を予定している。


■「ジオフェンス」の設定で1インチ級精度

発表によれば、8Rには運転席が設けられているものの、自律走行モードにすれば運転手が乗る必要はなく、作業者はスマートフォンなどのモバイルデバイスで8Rの設定が可能になる。

当然、8Rが自律走行の作動している間は、本来運転席に乗っていた人は他の作業をすることができる。トラクターの作動状況をスマートフォンなどで監視することも可能だという。

8Rには6ペアのステレオカメラが搭載されており、周囲360度の障害物までの距離を算出できる。また「ジオフェンス」(仮想的な地理的境界線)を設定することで、1インチ(2.54センチ)の精度で自動走行が可能になるという。

■2022年は自動運転農機の進化にも注目を

ディア・アンド・カンパニーは、早くから農機の自動化に取り組んできた経緯がある。2017年にはスマート農機の開発を手掛ける米Blue River Technology(ブルーリバーテクノロジー)を買収するなど、自社の農機の技術的進化を強力に推進してきた。


ただし、日本の農機メーカーも負けていない。国内大手のクボタやヤンマーなどがいずれも自社製品への自動運転技術の搭載を進めており、技術レベルも高めてきた。クボタに関しては2021年11月、農機の自動運転技術を開発するAgJunctionを買収したことも話題になった。

2022年は、市販車や公共交通用のシャトルやバスだけではなく、自動運転農機の進化と各社の事業戦略にも注目していきたいところだ。

▼Deere & Company公式サイト
https://www.deere.com/en/

【参考】関連記事としては「クボタ、北米向け自動運転トラクター事業強化へカナダ企業買収」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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