相鉄バスは2021年9月20〜24日の5日間、大型自動運転バスを路線バスとして使い、実際に公道で営業運転させる実証実験を神奈川県横浜市で実施する。自動運転の研究開発に力を入れる群馬大学と同大発スタートアップの日本モビリティが協力する。
自動運転バスではあるが、安全性のことを考慮して、運転席には運転士が座り、車内に保安要員を1人乗車させる。運転士は基本的には運行中はハンドルを握らないが、事故のおそれがある場合などはハンドルを握って手動運転を行う。自動運転レベルは「2」だ。
今回は実際に乗客から通常の運賃を受け取るため、自動運転バスの乗り心地などに関し、乗客からよりシビアな声を集めることができそうだ。
■本格的な営業運行に向けて課題を抽出
今回の実証実験は、横浜市の新ビジネス創出プログラム「I・TOP横浜」のプログラムの一環として実施される。実証実験を通じ、自動運転バスで本格的な営業運行を行う場合の課題を抽出することなどが目的だ。
▼「I・TOP横浜」公式サイト
https://itop.yokohama/
前述の通り、自動運転レベル2での運行となり、あくまで運行の主体は「人」だ。そのため、運転席に座る運転手は、ハンドルは握らないものの、普段の運転と同じように常に注意を怠ってはいけない。
走行ルートは「相鉄線二俣川駅南口〜左近山第5」間の往復約9キロとなっている。2021年3月に行われた実証実験の区間を延長させた形だ。このルートで1日6便を運行するため、自動運転バスは1日計54キロを走行することになる。ちなみに最高時速は30キロで走行する。
大型自動運転バスは相鉄バスが所有する車両を使う。この車両は日野自動車製で、さまざまなセンサーや機器類を搭載していることが特徴だ。位置測定のためのレーザセンサー、信号認識のための全方位カメラ、一部マイク付きの遠隔監視カメラ、GNSS受信機などだ。
■将来的には共同で「レベル4」の実用化を目指す
相鉄バスと群馬大学がタッグを組んで実証実験を行うのは、今回が初めてではない。
2019年9月には横浜市内の「よこはま動物園ズーラシア正門〜里山ガーデン正面入口」間で、大型自動運転バスを使った実証実験を行った。このときの実証実験は、イベント期間中のみの営業運行として実施され、運賃も無料だった。
この実証実験は2020年も行っており、その際には「運転席無人」「遠隔監視・操作」に実証実験の難易度を上げて実施された。
相鉄バスと群馬大学がこうした取り組みを始めるきっかけとなったが、2019年4月に締結した自動運転の共同研究契約だ。2019年から現在にかけては「レベル2」の実証実験を繰り返しているが、将来的には「レベル4」での実用化を目指している。
ちなみにレベル4は、全く人の介入を前提としない特定エリア内での自動運転のことを指す。
■【まとめ】3者による共同研究に引き続き注目
今回の実証実験は、相鉄バスが横浜市の公道を使って実施する初の実証実験となり、関心が集まりそうだ。群馬大学そして群馬大学発スタートアップの日本モビリティとの共同研究に、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「日本初!大型自動運転バス実証実験、通常の路線バスと同じ形態で」も参照。