デリバリー用の自動運転車両を開発する米スタートアップのNuroは2021年4月28日までに、ピザ宅配大手のドミノ・ピザと提携し、同社の「R2」を使ってテキサス州ヒューストンの顧客にピザを届ける取り組みを開始すると発表した。
この取り組み自体にもニュース性はあるが、今回は少し違った切り口でこの話題を取り上げたい。まず以下の画像を見てほしい。ドミノ・ピザを運ぶR2の車両だ。車体にドミノ・ピザのロゴが施されている。
しかし、詳しくは後述するが、デリバリー用の自動運転車や自動配送ロボットは将来的に、さまざまなレストランの料理を運ぶようになるはずであるため、車体に1社のロゴが固定的にプリントされるのはあまり好ましくない。
そのため、将来的には車体には外向けのディスプレイが搭載され、そこでレストランのロゴがいつでも切り替えられるようになっていく気がする。そうであれば、宅配する料理ごとにロゴの表示を変えることができる。
■自動配送ロボットが「1店舗専属」にならない理由
先ほど「多くのデリバリー用の自動運転車や自動配送ロボットは将来的に、さまざまなレストランや飲食店の料理を運ぶようになる」と書いた。これは、車両やロボットの提供事業者であっても、ロボットを自社保有している飲食店であっても同じことだ。
自動運転車や自動搬送ロボットは待機時間を少なくすればするほど、収益率を高くすることができる。ギグワーカーのように、料理を運んだ分だけデリバリーの手数料を手に入れることができるからだ。
そのため自動配送ロボットを自社保有している飲食店であっても、自社のデリバリーで使っていない間は、ロボットにほかの飲食店の料理を配達させようとするはずだ。それによって、自動配送ロボットが一人で手数料を稼いでくれるわけだ。
■外部ディスプレイをつければ広告効果も抜群
アメリカでは、自動配送ロボットを使ったフード配送の取り組みが加速しつつある。例えば、三輪型の自動配送ロボットを開発する米スタートアップのRefraction AIは2020年夏から、自動配送ロボット「REV-1」を使ってカフェやレストランの料理を配送している。
まだこの取り組みでも前述のような外部ディスプレイの仕組みが導入されていないが、もし導入されれば、レストラン側にとっては非常に有り難いはずだ。ロボットがデリバリーの過程で自社のロゴを表示しながら道路を走行してくれるため、広告効果が期待できるからだ。
自動配送ロボット×外部ディスプレイ…。ちょっとしたアイデアだが、もしかすると広告代理店やディスプレイの製造企業などにとっては、大きなビジネスチャンスになるかもしれない。
【参考】関連記事としては「車内照明市場、2026年に57億ドル規模!自動運転車の裾野産業にビジネスチャンス」も参照。