国土交通省は2019年6月30日までに、地域を限定した無人自動運転移動サービスの導入を進めるため、バスやタクシー事業者に向けたガイドラインを策定した。
政府は2020年の東京オリンピックまでに限定地域での無人移動サービスの実現を目指している。今回公表されたガイドラインは、車内にドライバーがいない場合でも、ドライバーがいる場合と同等の安全性を確保するのが目的だという。
ガイドラインが適用される対象のサービスは2つ。遠隔監視・操作を前提とした限定地域内の無人自動運転サービスと、自動運転レベル4(高度運転自動化)のサービスだ。自動運転レベル4を活用した移動サービスは、現行の法律だと運用するのは難しいが、地域限定で関連制度を整備していく方針のようだ。
どちらのサービスにも共通する基本的な考え方としては、サービスを運用する事業者は定められた運行体制を整えた上で、遠隔で常に運行状況を把握できるようにする。非常事態発生時も状況把握と対応をすぐに行えるようにする必要がある。
遠隔監視・操作者を別に設置する場合は普通乗用車の運転者と同等の責任を負ったうえで、道路交通法に則り、運行の安全性を確保する。車内には運転者不在だが、バスなどの大型車両では必要に応じて添乗員を配置し、非常時の対応をおこなう想定もしているようだ。
■安全運行確保の項目の概要は?
ガイドラインでは、ドライバーが運転する場合と同様の安全性を確保するために事業者が対応すべき項目も細かく定められている。
安全性に大きく関わる安全運行確保の項目では、車両特性に合わせたエリア設定やルートを設定することが決められている。さらに遠隔監視者をおく場合は通信遅延が発生することも想定した指導が必要となる。
また、乗客の安全性を確保するため、車内外に乗客の状況を把握できるカメラの設置も必要となるようだ。乗降口の開閉に挟まれる、走行中に立ち上がって転倒するといった事故を防止するのが目的だ。
■点検整備の項目の概要は?
点検整備の項目では車両のソフトウェアアップデートについても定められている。車両乗っ取りなどのサイバーテロを防ぐためには重要な要件だ。また現行の車検など共通の整備に加えて、自動車メーカーが独自に定める点検整備にも対応し、適切な保守管理を行うことも定められている。
ガイドラインの詳しい内容は「限定地域での無人自動運転移動サービスにおいて旅客自動車運送事業者が安全性・利便性を確保するためのガイドライン」(リンク先:国土交通省)から確認できる。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る|自動運転ラボ」も参照。