「2019年までに自動運転タクシーが商業化される」——。米国の調査会社アーク・インベストメントが2017年10月に発表したMaaSレポートの予言は当たった。グーグル系の自動運転開発会社ウェイモが2018年12月にサービスを開始したからだ。
このアーク・インベストメント社が発表したレポート「MOBILITY-AS-A-SERVICE(サービスとしてのモビリティ):なぜ自動運転車は全てを変えうるのか」を改めて読み込んでみると、自動運転タクシーに秘めた可能性に改めて驚かされる。同レポートでは自動運転車のMaaS市場が2030年代初頭までに10兆ドル(約1100兆円)を超える見通しが示されている。
■自動運転タクシー、コストは従来の10分の1に
驚くべき数字は市場規模だけではない。自動運転タクシーのコストの安さにもだ。
レポートではいまのタクシーと自動運転タクシーに乗ったときに消費者が負担するコストをそれぞれ割り出し、比較している。それによると、アメリカにおける今のタクシーの消費者コストは1マイル(約1.6キロ)当たり3.5ドルだが、自動運転タクシーはその10分の1に当たる1マイル当たり0.35ドルまで下がるという。(※ちなみに「1マイル当たり0.35ドル」を日本人にも分かりやすいように換算すると、「1キロ当たり22円」となる)
さらにレポートでは2030年までにアメリカ国内の交通量が現在の3倍になると予想している。目の不自由な人や高齢者、免許取得前の若者なども自動運転タクシーを安価に気軽に利用できるようになるためだ。
レポートでは「交通量は増えるとみられるものの、自動運転車はより効率的に機能し、運転者に単にハンドルを握っている以上の快適な体験を提供するでしょう」と分析している。
■そして自動車販売台数は予想以上に減少する
同レポートでは自動運転タクシーのライドシェアリング需要で、世界の自動車販売台数は予想以上に減少するとしている。例えば北米と欧州では2020年代後半に販売台数が2017年の半分ほどになる可能性もあるという。
このレポートは日本語版も発行されている。自動運転タクシーがGDPに与える影響なども予想されているので、関心がある人はぜひ「MOBILITY-AS-A-SERVICE(サービスとしてのモビリティ):なぜ自動運転車は全てを変えうるのか」からダウンロードしてチェックしてほしい。
【参考】関連記事としては「AI自動運転やMaaS、ライドシェアなどの将来市場規模予測10選」も参照。