米ライドシェア最大手のウーバー(Uber)の自動運転車が2018年3月に起こした死亡事故に対し、米道路安全保険協会(IIHS)はベース車両に用いられていたボルボの安全システムを解除していなければ事故を回避できた可能性がある、という見解を示した。
事故は米アリゾナ州で2018年3月18日、自動運転の試験走行中に発生。車道を渡っていた49歳の歩行者を時速約64キロではねて死亡させた。歩行者は急に車道に飛び出しており、当初は事故回避は難しかったとする見方もあった。
しかし、調査が進むにつれ、事故時に緊急ブレーキが作動する設定になっていなかったことや運転手が携帯電話でテレビ番組を視聴していたことなどが明らかになった。
■車両側の「自動ブレーキ」有効なら
今回のIIHSの発表では、車両「XC90」に搭載されているボルボの自動ブレーキ機能が有効に設定されていれば、事故を回避できたか事故の衝撃を緩和できた可能性があるとしている。
ウーバーは、自社の自動運転システム自体も自動ブレーキ機能を備えていることから、車両の動作が不安定になることを防ぐため走行時はボルボの自動ブレーキ機能を無効にしているという。
人災としか言いようのない事故だが、自動運転車の事故はシステムの故障など以外にも人災が原因となる場合が往々にあり、今後日本を含む世界各地で増加が予想される実証試験時にも細心の注意が必要であることは言うまでもないことだ。
【参考】ウーバーの事故については「米ウーバー死亡事故、緊急ブレーキ作動しない設定 LiDARは歩行者認知 自動運転試験中|自動運転ラボ