デンソー子会社の株式会社デンソーアイティーラボラトリ(本社:東京都渋谷区/代表取締役:岸本正志)は、慶応義塾大学やお茶の水女子大学と共同で声で操作できる自動運転システムを開発した。日経新聞が報じており、2020年代半ばの実用化を目指すという。
デンソーアイティーラボラトリ社は研究開発に特化したデンソーのグループ企業として、2000年に設立した。「私たちの机から、未来が生まれる」「デンソーらしくない」などをテーマの一つに据え、少数精鋭の研究者集団として次世代技術の技術開発を進めている。
【参考】デンソーアイティーラボラトリ社は研究成果を製品につなげていくことを目的とし、各社員が業務の20%を自ら選んだ調査研究に充てるなどのユニークな取り組みも進めている。主な研究分野は画像認識や自然言語処理、信号処理、制御理論などで、論文なども多数発表している。詳しい情報は「公式ウェブサイト」で。
声で操作できる自動運転システムについては、ミニバンを改造した実験車両を使って慶大の新川崎タウンキャンパスで実証実験を行った。1周約300メートルのコースを周回する際、「左折して」や「発進して」、「車と車の間に停めて」といった声を車載コンピューターが解析し、周囲の道路状況に合わせて安全に走行する。駐車の位置など選択肢がある場合は、ドライバーに指示を仰ぐ機能もあるようだ。
音声認識技術はオーディオやカーナビなどですでに実用化されているが、自動運転車の制御においては間違いは許されず、正確性が求められる。現時点では複雑な指示には対応できないため、今後、車載カメラの映像なども利用して機能を高め、インターネットとつながるコネクテッドカーへの応用も念頭に入れながら改良を進めていくという。
【参考】自動運転車と音声認識をめぐっては、誤認識による危険性を指摘する声もある。詳しくは「もし自動運転のAI脳が「まって」を「まがって」と誤認識したら?|自動運転ラボ