リース大手の東京センチュリー株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:野上誠)が、「空飛ぶクルマ」を開発する独Volocopter (ボロコプター)と出資契約を締結したことを、2021年3月14日までに発表した。
東京センチュリーにとってVolocopterへの出資は、「低炭素社会への貢献」「技術革新に対応した新事業創出」「社会インフラ整備への貢献」などのSDGsへの対応の一環だとしている。
具体的には、オートリース・レンタカー事業や配車オペレーションサービスなどの事業で連携し、Volocopterの日本での展開に向けても貢献していきたい考えのようだ。
2011年設立のVolocopterは「eVTOL」(電動垂直離着陸機)の開発製造を手がけ、eVTOL業界のリーディングカンパニーの1社として、世界初の欧州航空安全庁(EASA)の認証も取得している。
すでに有人飛行試験も実施しており、2019年にはシンガポールの都市部でも有人試験飛行を成功させた。将来的にはエアタクシー事業を展開することを目指している。
■日本国内でも活発化するeVTOLの開発
グローバル調査会社のマーケッツアンドマーケッツが2019年3月に発表した予測によると、eVTOLの市場規模は2025年に1億6,200万ドル、2030年に4億1,100万ドルにまで拡大するとされている。
こうした市場拡大が見込まれる中、日本でも2030年前半に都市部での有人飛行を実用化させることが目標として掲げられ、官民が一体となって実現に向け取り組んでいる。
日本でeVTOLを開発するベンチャーとしては、SkyDriveやテトラ・アビエーションが注目を集めている。2018年創業のSkyDriveはすでに無人屋外飛行試験を成功させ、2019年に有人飛行試験も開始した。
2018年設立のテトラ・アビエーションは、1人乗り用の空飛ぶクルマ「teTra」を開発している。2020年に開催された1人乗り航空機の国際大会「GoFly」の決勝では唯一の受賞者となり、世界にその名を知らしめた。
そのほか、日本航空と住友商事は米Bell TextronとeVTOLを活用したエアモビリティ分野で業務提携を発表、トヨタは米Joby AviationとeVTOLの開発で協業することを発表し、話題を呼んだ。
■クリアすべき課題は多いが、早期の実用化に期待
空飛ぶクルマが実用化・普及すれば、人々は車の渋滞から解消され、移動時間を短縮でき、移動がより便利になることは間違いない。人々の移動のほか、荷物の配達や災害時の救助などでも空飛ぶクルマは活躍する。
自動運転車と同様に、実現するまでに法規制や社会受容性などの面でクリアすべき課題は多々あるが、できる限り早期の実用化に期待したいところだ。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)