ライドシェア最大手・米ウーバーの自動運転開発部門「アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)」は2020年3月12日までに、サンフランシスコにおける自動運転車の公道実証実験を再開した。米メディアが報じた。
ウーバーは2018年3月、テスト車両が道路を横断中の歩行者をはねて死亡させる事故をアリゾナ州で起こし、公道での実証実験を一時的に停止した。その後、2018年12月にペンシルヴェニア州ピッツバーグで実証実験を再開しているが、ウーバーが本社を構えるお膝元サンフランシスコでの再開は見送られていた。
報道などによると、今回サンフランシスコで再開された実証実験では、Volvoの多目的スポーツ車(SUV)「XC90」をベースにした自動運転車を使い、タクシーのように乗客などをピックアップすることなく実施される。
ウーバーの広報担当者によれば、実施されるエリアも当面は狭いエリアに限定し、徐々に実証エリアを拡大していく予定だという。
■ウェイモに先を越された苦い思い出
ウーバーはライドシェアサービスで世界大手だが、早くから自動運転開発に乗り出しており、自動運転タクシーの商用サービスを将来的に展開することが考えられている。
自動運転タクシーの運行コストは一般的なタクシーの10分の1程度になるという予測もあり、商用サービスとして軌道に乗れば、ドライバーへの報酬が発生するライドシェアよりもはるかに収益性が高い事業となるからだ。
ただウーバーは自動運転タクシーの商用サービス提供の「世界初」という称号を、グーグル系ウェイモに譲る形となっている。ウェイモが商用サービスを開始したのは、ウーバーが死亡事故を起こしてから約9カ月後の2018年12月で、ウーバーにとっては苦い記憶であると言える。
ウーバーはその後、新たな事故を防ぐために実証実験中のルール強化などに取り組んでおり、サンフランシスコでの再開にも今回こぎつけた形だ。ウーバーの死亡事故はアメリカ国内で当時大きく報じられただけに、サンフランシスコ市民の反応も気になるところだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転の事故まとめ ウーバーやテスラの死亡事故、日本の事例を解説」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)