2010年に米サンフランシスコにてスタートした世界最大手のライドシェア企業Uberは、自動運転車開発への巨額投資も行っている。
2018年の走行実験中の死亡事故により勢いが止まったかにみられていたが、今年6月にはウーバーの自動運転システムを搭載可能なSUV(多目的スポーツ車)がボルボ・カーズによって発表されるなど、水面下で開発が続いている。
そんなUberの自動運転車はいったいどんな構造をしているのか。自動運転ラボはその構造を探るべく、英語で公開されているある資料を読み解いてみた。
記事の目次
■LiDAR:秒間140万のレーザーポイント
まず「自動運転の目」を呼ばれるLiDARについてだ。LiDARはレーザー光を対象物に照射し、その散乱や反射光を観測することで対象物までの距離を計測したり性質を特定したりするもので、自動運転の実現に向けて重要な役割を果たす。
Uberの自動運転車に取り付けられているLiDARは、秒間140万のレーザーポイントを放ち、車両周辺の3Dマップを作ることができる。
■カメラ:合計20個のカメラを搭載
自動運転車やADAS(先進運転支援システム)において「カメラ」は重要なデバイスだ。近年は画像認識技術が大幅に向上し、カメラで撮影したデジタル画像データを基に、車両や歩行者、交通標識などを認識する技術の開発が進んでいる。
そんなカメラについては、Uberの自動運転車には合計20個ものカメラが搭載されており、360度死角なく歩行者などを見分けることができるようになっている。例え数個が作動しない状況に陥っても、自動運転での走行の安全性も担保できるようになっている。
■GPSアンテナ:自車位置の場所を特定
自動運転車は無線通信には外部との情報のやり取りが必須となる。そして無線通信にはアンテナや受信機器が必要とされる。
Uberの自動運転車にももちろんアンテナが配備されている。このアンテナを通じて無線通信のほか、GPS(全地球測位システム)を通じた自車位置の特定にも役立てる。
■冷却システム:オーバーヒートを防ぐ
数々のコンピュータや通信機を搭載した自動運転車は、情報処理量が尋常でないため、各部でかなり多くの熱を持つことになる。この熱が装置のオーバーヒートを引き起こせば、自動運転に深刻な影響を与えることが懸念される。
こうした事態を防ぐため、Uberの自動運転車には最新鋭の冷却システムも搭載されている。冷却システムは自動車部品サプライヤーが標準搭載に向けて開発競争を繰り広げており、Uberの冷却システムの座をどの企業が射止めるのかにも注目が集まる。
■【まとめ】将来は「自動運転タクシー」が視野
いまは「人」が担い手となっているライドシェアについては、将来は「自動運転タクシー」がその役目を果たすと言われている。Uberが自動運転開発に力を入れている理由もそこにある。今後も開発スピードを緩めることなく、Uberの自動運転開発は続いていくだろう。
【参考】関連記事としては「ボルボ・カーズ、ウーバーの自動運転システムを搭載可能なSUVを発表」も参照。