トヨタのMaas・自動運転系の子会社6社の決算が出揃った。黒字額が最も大きかったのはトヨタコネクティッドで36億2,266万円となっており、逆に損失が最も大きかったのはKINTOで57億2,600万円だった。
自動運転ラボでは各社の決算概要をすでに報じているが、この記事では各社の決算内容をまとめて振り返っていく。
■ウーブン3社の決算概要は?
2021年1月、トヨタは先端分野の事業開発を強化するためにTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)を再編し、持株会社のウーブン・プラネット・ホールディングスと、事業会社のウーブン・コア、ウーブン・アルファの3社に分社させた。
直近の決算公告によると、ウーブン・プラネット・ホールディングスの当期純利益は6億7,878万円の赤字、Woven Cityなどを事業領域とするウーブン・アルファは7億5,038万円の赤字、自動運転技術の開発を主に手掛けるウーブン・コアは15億9,764万円の黒字だった。
【参考】関連記事としては「トヨタ「ウーブン」、新体制3社の決算解説!自動運転技術やWoven Cityに注力」を参照。
■KINTOの決算概要は?
トヨタのサブスクリプションサービスを担うKINTOは、サービス展開が本格化したこともあり、売上高は前期の3億3,951万円から32億9,600万円へと約10倍に膨れ上がった。順調にサービスをスケールさせている印象だ。
その一方で、営業収益は66億円6,600万円の赤字、当期純利益も57億2,600万円の赤字となっている。
【参考】関連記事としては「トヨタ系KINTO、2021年3月期は売上高が約10倍!サブスクサービスを本格化」を参照。
■トヨタモビリティサービスの決算概要は?
リース事業や新たなモビリティサービスの開発を手掛けるトヨタモビリティサービスは、売上高が前年比5.8%増の1,005億400万円。当期純利益は前期の4,700万円のマイナスから13億4,100万円のプラスとなり、黒字転換した。
同社は近年は、レンタサイクルサービス「ちかチャリ」や、社用車を従業員に貸し出す「Booking Car」などの取り組みを行っており、注目を集めている。
【参考】関連記事としては「トヨタモビリティサービス、最新決算で黒字転換!純利益13億円を計上」を参照。
■トヨタコネクティッドの決算概要は?
コネクティッド社会に向けた事業を展開するトヨタコネクティッドは、売上高が前年比8.9%増で542億7,415万円、当期純利益が前年比3.6%増で36億2,266万円となっており、増収増益を果たした。
トヨタコネクティッドは、トヨタのテレマティクスサービス「T-Connect」や、オープンプラットフォーム「MSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)」の運用を担っており、2020年4月にはNTTデータとの業務提携を開始している。
【参考】関連記事として「トヨタコネクティッド、増収増益!2021年3月期決算、取り組んでいる事業は?」を参照。
■今後も子会社の決算は要チェック
トヨタ本体の決算にももちろん注目だが、トヨタが自動運転やMaaSに注力し始めている今、こうした領域を専門に事業展開する子会社の業績も、合わせて知っておくべきだ。自動運転ラボでは今後の決算概要も引き続きウオッチしていく。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「【自動運転ラボ白書】必読!「トヨタの自動運転戦略 全解説」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)