静岡県浜松市は2019年12月10日までに、2019年度から実施している「浜松市実証実験サポート事業」において、自動運転システム実証プロジェクトを提案した合同会社PerceptIn Japan(本社:東京都千代田区/代表:シャオシャン・リュウ)を含む5社を採択したと発表した。
このサポート事業は、浜松市をフィールドとして実施する実証実験プロジェクトを全国から募集し、採択されたプロジェクトには実証フィールドの提供や実証実験に関わる費用などの補助支援を行うというもの。この事業により、浜松市の抱える社会問題の解決や地域の産業振興を推進することが目的だ。
2019年度はベンチャー企業など26社から応募があったという。ちなみに採択されたのはPerceptIn Japan社のほか、IoTセンサーによる健康寿命延伸プロジェクトの株式会社Z-Worksや、音楽文化プラットフォーム実証プロジェクトの株式会社ムジカルなどだ。
■PerceptIn、独自のソフトウェア技術で低コスト自動運転
PerceptIn Japanとはどんな会社なのか。
PerceptIn Japan社は、2016年に米国シリコンバレーで創業したスタートアップ企業PerceptIn Limitedの日本法人で、2019年8月に設立された。PerceptIn本体は現在は香港に本社をおき、中国の深圳にも開発拠点を持つ。
低速電動車両(LSEV)向けの自動運転技術を低コストで提供できることが同社の強みとされ、独自のソフトウェア技術を用いてGPS(全地球測位システム)やカメラなどの情報を統合し、LiDARや高精度3Dマップを使用せずに自動運転を可能にする。
■過去に日本でロボットタクシーを披露
PerceptIn Japan社は2019年9月に福岡市で行った自動運転の実証実験で、マイクロ低速ロボットタクシーを日本で初めて紹介されている。車両は2人乗りの低速電動車両(LSEV)で、PerceptIn独自のコンセプトで開発されたものだ。
また2019年10月には技術商社マクニカと共同で、奈良県奈良市の平城宮跡歴史公園でも実証実験を実施している。この実証実験に使用されたのは8人乗り低速電動車両のマイクロ・ロボットタクシーだ。PerceptInはこのマイクロロボットタクシーを公共交通や既存の交通手段を補完する新しな移動方法として提案している。
またPerceptInの技術の特徴としては、コンポーネントをモジュール化することによって自動運転車両を「LEGO」のように組み立てることを可能にしたことも挙げられる。
■【まとめ】「安く実現する」ことに価値がある時代を見据え
コストは安いに越したことがない。それでこそ普及に勢いがつくというものだ。いずれは自動運転を実現するというだけではなく、「安く実現する」ということに価値がある時代が来る。PerceptInの取り組みはその時代を見据えたものであると言える。
【参考】関連記事としては「マクニカとPerceptIn、自動運転の小型ロボタクシー事業化へ協業」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)