日本電産モビリティが黒字転換!175億円も利益改善 自動運転化に必要な製品も開発

2021年3月期(第11期)決算、当期純利益は18.2億円



出典:官報

自動運転化に必要な製品にも注力する日本電産モビリティ株式会社(本社:愛知県小牧市/代表取締役社長:和田克弘)の2021年3月期(第11期)の決算公告が、官報に記載された。

第11期の売上高は前期比14.7%減の289億1,400万円で減収となったが、最終損益は前期の157億200万円のマイナスから18億2,800万円のプラスとなり、黒字転換している。


■決算概要

賃借対照表の要旨(2021年3月31日現在)
資産の部
流動資産 22,203
固定資産 20,621
有形固定資産 8,162
無形固定資産 551
投資その他の資産 11,907
資産合計 42,824
======
負債及び純資産の部
流動負債 29,597
(製品保証引当金)(22)
(賞与引当金)(756)
(役員賞与引当金)(4)
固定負債 2,444
(退職給付引当金)(1,134)
(株式給付引当金)(4)
株主資本 10,782
資本金 5,000
資本剰余金 3,954
資本準備金 3,954
利益剰余金 1,828
その他利益剰余金 1,828
負債・純資産合計 42,824
(単位:百万円)

損益計算書の要旨(2020年4月1日~2021年3月31日)
売上高 28,914
売上原価 18,015
売上総利益 10,899
販売費及び一般管理費 11,057
営業損失 158
営業外損益 592
経常利益 434
特別損益 1,243
税引前当期純利益 1,677
法人税・住民税及び事業税 △804
法人税等調整額 653
当期純利益 1,828
(単位:百万円)

■日本電産モビリティの取り組みは?

日本電産モビリティは、日本電産がオムロンの車載子会社であるオムロンオートモーティブエレクトロニクスを2019年に買収したことでできた企業だ。

自動車の制御に使用されるコントローラやスイッチ、センサーなどをメインに開発・製造しているほか、コネクテッド化や自動運転化、電動化に必要な製品の開発にも力を入れていることでも知られる。


買収後に発表されたプレスリリースは2つで、その1つ目は2019年12月に発表され、カナダのウォータールー大学との共同開発で、車内生体検知センサーの性能向上に取り組んでいくという内容だ。

具体的には、車内カメラと電波センサーを組み合わせ、自力で車外に出られない乳幼児やペットなどの認識を可能にすることを目指すほか、将来的に自動運転車の電動稼働シートなどで子供が挟まれる事故を防げるようにしていくという。

2つ目のプレスリリースは、⾞外の物体を検知するセンサーの技術を向上させるため、⾛⾏中の⾞外のセンシングデータと実画像データを公道上で収集するというもの。2020年1月に発表され、2022年3月まで断続的なデータ収集を予定しているという。

■社会問題への挑戦、そして先見性にも注目

日本電産モビリティになってからのプレスリリースは決して多くはないが、現在も問題視されている乳幼児の車内置き去り問題などは業界をあげて取り組むべき課題であり、日本電産モビリティの取り組みに対する注目度は決して低くない。


また、自動運転車では人が車内でさまざまな過ごし方をすることになることから、シートデザインが自在に変わるシステムが将来導入されることを見込み、今から事故が起きないよう技術開発に取り組んでいる日本電産モビリティの先見性も特筆すべき点だと言える。

▼日本電産モビリティ公式サイト
https://www.nidec.com/jp/nidec-mobility/

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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