物流MaaSの先行実証、2021年度の7事業者を選定!経産省が発表

自動化による輸配送効率化などがテーマ

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経済産業省は2021年7月30日までに、2021年度に「物流MaaS」推進のために先進的な実証を実施する事業者の公募による選定を終え、7事業者を発表した。

2021年度は「見える化・混載・自動化等による輸配送効率化」と「電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証」の2つのテーマで公募を行い、前者では2事業者、後者では5事業者が選定された。

■経済産業省と物流MaaS

経済産業省は2019年ごろから物流MaaSの構築に力を入れ始めた印象だ。慢性的な需要過多や人手不足、環境規制の強化への対応、物流のICT・デジタル化、商用分野でのCASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)対応など、物流業界のさまざまな課題を解決するためだ。

こうした課題の解決に向けて勉強会を始め、2020年4月には「トラックデータ連携の仕組み確立」「見える化・混載による輸配送効率化」「電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証」という3つの方向性をまとめた。

2020年度、上記の3つの方向性を踏まえた実証事業を複数の民間事業者と連携して取り組んでおり、2021年度の取り組みはそれに続くものだ。

■2021年度選定された7事業者とそれぞれの取り組み
見える化・混載・自動化等による輸配送効率化

2021年度、「見える化・混載・自動化等による輸配送効率化」では、2事業者が選定された。

NEXT Logistics Japanは、積載率向上に向けたCO2削減や省人化を検証する荷姿の標準化、結節点における荷役の自動化に向けた企画と課題の抽出などの観点で取り組む。

三菱ロジスネクストは安全で効率的な物流を目指し、車両に油圧センサーユニットを装着して架装設備を見える化する検証を実施する。同時に、整備・運行記録を使った分析モデル構築を保険会社などと連携して行う。

電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証

「電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証」では5事業者が選定された。

ミツバは、交換式バッテリー搭載の貨物EV(電気自動車)の製作と配送サービスを模した運用実証をテストコースで行うなどする。東京電力ホールディングスは、ダイナミックプライシングや100%再生可能なカーボンフリー充電を採用した「共同利用型充電サービス」を法人ユーザーに提供する。

長瀬産業は、物流業界の人手不足や支線配送の増加への対応と効率化を図るべく、ミニカー区分の小型EVを実際の宅配業務現場で運用する。MONET Technologiesは東広島市において、自動運転EVを複数事業者で共同運行し、共同運用性を検証する。

みちのりホールディングスは地方部の路線バスを対象に、電気料金を抑制した運行を実現して初期費用や運用コストを低減するため、小容量バッテリーEVバスで運行管理やエネルギー管理を一体的に行う運用検証を実運行で実施する。

■【まとめ】官民一体で進む物流MaaS

ちなみにもう1つのテーマである「トラックデータ連携の仕組み確立」については、2020年度からの豊田通商の取り組みが継続されるという。

官民一体となって進められる物流MaaS。2021年度に選定された7事業者と2020年度からの引き続きの取り組みに期待したい。

▼経済産業省プレスリリース「物流MaaSの推進に向けて!」
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210726008/20210726008.html

【参考】関連記事としては「【資料解説】「物流MaaS勉強会」取りまとめ、その概要は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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