「自動運転×通信」の分野では、5Gの周波数を割り当てられているソフトバンクやKDDI、そしてNTTドコモが火花を散らし、来たる自動運転時代を見据えた主導権争いを実証実験などを通じて繰り広げている。
そんな中、KDDIがデンソーとタッグを組み、自動運転での5G活用に向けて共同検証を開始すると、2021年3月9日までに発表した。デンソーの車載通信技術開発のノウハウとKDDIの先進的ネットワーク技術の知見を掛け合わせていくようだ。
具体的には、5Gの高速・大容量通信という特徴をいかし、車載カメラや路側センサーから得られる高精細映像や周辺情報を効率よく把握するシステムを検証する。検証にあたり、デンソーの研究開発拠点「Global R&D Tokyo, Haneda」のテスト路に5G通信環境を整備する。
■ソフトバンクとNTTドコモも負けじと
ソフトバンクとNTTドコモもKDDIに負けず、自動運転分野における取り組みを強化している。
例えばソフトバンクは2019年11月、本田技術研究所と5Gコネクテッドカーの技術検証を実施し、安定的な通信ができたことを発表している。SUBARUとは5GとセルラーV2X通信システムを使った共同研究をスタートさせている。
5G技術を活用したトラックの隊列走行の実証実験にも盛んに取り組んでいる。2020年には新東名高速道路で、5Gの新たな無線方式(5G-NR)を活用したトラック隊列走行の実証実験を成功させている。
NTTドコモも「自動運転×5G」に取り組んでいる。2017年には凸版印刷と5Gのモバイルネットワークを利用し、高精細4KのVRコンテンツを自動運転バスにリアルタイムで配信する公開実験を行った。
NTTドコモの親会社であるNTTが2020年3月にトヨタと業務資本提携をした際には、自動運転車などの検証を行う実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」の街づくりで協働することが発表された。当然、Woven Cityにおける5G技術の活用も視野に入っている。
■自動運転領域を舞台に3社が真剣勝負
3社はいま電話通信事業だけではなく、自動運転という舞台でも競争を繰り広げている。高速通信が不可欠な要素である自動運転の領域で、どの通信会社が一歩抜きんでていくのか。自動運転時代は幕をあけたばかりだが、すでに真剣勝負は始まっている。
【参考】関連記事としては「地域課題解決へ、ローカル5G×自動運転 総務省が決定した実証実験の内容は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)