米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)は近年、「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域における技術のプロバイダーとして、その地位を徐々に確立させつつある。
米ラスベガスで2020年1月7〜10日に開催された世界最大の技術見本市「CES 2020」においても、さまざまな企業の展示にNVIDIAの技術が関わっていた。その一端を紹介していこう。
■ソニーの自動運転車「Vision-S」のコックピットでも
日本のソニーはCES 2020で、自動運転車のプロトタイプ「Vision-S」を発表している。NVIDIAによれば、このプロトタイプの開発でNVIDIAはソニーと協力したようだ。
具体的にどのような点で協力したかは明確には明らかにしていないものの、NVIDIA側はVision-Sについて「インテリジェントなコクピット体験に向けたきわめて明瞭なグラフィックスを採用しています」とした上で、「最も革新的な特徴はこれを作ったのが自動車メーカーではないという点です」と説明している。
【参考】関連記事としては「CES 2020、”車の発表”は既にOEMの専売特許ではない Sonyの自動運転車発表から感じること」も参照。
■メルセデス・ベンツのMBUXインフォテインメントでも
CES 2020におけるメルセデス・ベンツの展示でも、NVIDIAの技術が取り入れられていた。NVIDIAはメルセデス・ベンツについて「NVIDIAの技術を使った革新的なMBUXインフォテインメント技術をさらに推し進める予定」としている。
このMBUXインフォテインメントとは、メルセデス・ベンツ独自の対話型インフォテイメントシステムで、CES 2020で発表された自動運転EVコンセプトカー「Mercedes-Benz VISION AVTR」では、同システムをさらに昇華させ、手を置くだけで車両の制御の一部が可能となる機能も紹介された。
【参考】関連記事としては「「蟹の動き」が可能なAI自動運転車、メルセデス・ベンツがCES 2020で発表」も参照。
■ヤンデックスの自動運転車やLuminarの最新LiDARでも
「ロシアのグーグル」とも呼ばれるロシアの検索大手ヤンデックスは、CES 2020に合わせて自社開発の自動運転車のデモ走行を行っている。その自動運転車両ではNVIDIAの「NVIDIA DRIVEエコシステム」が活用されているようだ。
またそのほかにも、LiDAR開発企業の米Luminarが発表した自動運転レベル3〜4用の「Hydra LiDAR」で、NVIDIAの「NVIDIA Xavier」が搭載されていたという。
世界の自動車メーカーや部品メーカーなどとパートナーシップを多く結び、最近では自動運転領域の裏方的存在として各社の技術を支えているNVIDIA。CES 2020はこうしたNVIDIAの取り組みや姿勢が改めて鮮明になった技術見本市となった。
【参考】関連記事としては「NVIDIAの自動運転技術、完全解説&まとめ 動画で全世界に公開!」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)