トヨタグループ5社が、AI(人工知能)・ソフトウェア人財の育成を強化する「トヨタソフトウェアアカデミー」を発足したことを発表した。「クルマ屋らしいAI・ソフトウェア人財育成」が狙いで、参加企業はトヨタ自動車のほかアイシン、デンソー、豊田通商、ウーブン・バイ・トヨタとなっている。
同アカデミーでは、トヨタグループならではの専門知識を実践的に学べる講座を受けられるという。先進技術開発に注力するウーブン・バイ・トヨタもメンバーに入っているため、自動運転など最新の技術を学べる場になりそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転戦略 車種や機能の名前は?レベル2・レベル3は可能?」も参照。
編集部おすすめサービス<PR> | |
パソナキャリア | |
転職後の平均年収837〜1,015万円 | |
タクシーアプリ GO | |
クーポンが充実!「乗車無料」のチャンス | |
MOTAカーリース | |
お好きな車が月々1万円台から! | |
スクエアbang! | |
「最も安い」自動車保険を提案! |
■クルマ屋らしい人財を育成
トヨタソフトウェアアカデミーでは、ソフトウェアに加えハードウェアも理解したクルマ屋らしいAI・ソフトウェア人財を育成していく。具体的な内容は「現地現物で学べる実践研修の提供」と「世界中のAI・ソフトウェア人財が集う機会の創出とキャリア形成支援」の2つだ。
現地現物で学べる実践研修の提供としては、AIやデータセキュリティ、車両法規などの専門知識を実践的に学ぶことができる研修講座を開講する。オンラインでの座学講習や実車を用いた実践的研修、専門家による講義などが行われ、講座数は約100種類にもなるようだ。
なお自動運転開発についての講座では、専門的なAI・制御理論等を学ぶ。そして自作のプログラムを実車で動かすプロセスを通じ、クルマづくりの楽しさや安全・品質の重要性を体感するソフトウェアづくりを学ぶことができるという。
また世界中のAI・ソフトウェア人財が集う機会の創出とキャリア形成支援では、ハイレベルなAI・ソフトウェア人財をはじめ、これからの時代を担うエンジニアが集い、互いに切磋琢磨しキャリアを考えるきっかけを提供する。さらにデンソーのスキル認定プログラム「SOMRIE(ソムリエ)認定制度」など、各社の制度と連携したスキルの見える化や、AIによる講座の推奨などを通じて、チャレンジを後押ししていく。
▼トヨタグループ5社、AI・ソフトウェアの人財育成とイノベーションを加速
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/42801307.html
【参考】関連記事としては「トヨタe-Paletteの「お蔵入り説」は嘘だった。自動運転シャトル、徐々に表舞台に」も参照。
■「グローバルAIアクセレレーター(GAIA)」を始動
トヨタはトヨタソフトウェアアカデミー発足に関連して、AIの研究や開発などへの投資を大幅に拡大し、イノベーションを加速する「グローバルAIアクセレレーター(GAIA)」を始動したことも発表している。
トヨタの研究開発から製造現場まで、あらゆる領域でAI活用を飛躍的に加速させることを目指し、関連する技術開発への大幅な投資拡大や人財育成を推進する。GAIAは「誰かの仕事を楽にしたいというニンベンのついた『自働化』の考え方」に根ざし、チームメンバーの生産性を向上させ、新しいAI対応製品の創出に寄与するという。グローバルに11カテゴリーでのAIの活用に注力し、カテゴリーの拡大も検討していくようだ。
なお11カテゴリーは下記となっている。
- 自動運転(AD/ADAS)
- AIエージェント
- モビリティ3.0
- ソフトウェア効率化
- カスタマーリレーション
- ノウハウ伝授
- 材料設計
- 製造
- 業務効率化
- ロボティクス
- 車両設計
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転技術、すでに「テスラ超え」か ”実はレベル高い”との声多数」も参照。
■ウーブン・バイ・トヨタも参加
今回のアカデミー発足について、トヨタのChief Scientistであるギル・プラット博士は「グローバルトヨタにおいて、製造から設計、オフィス部門に至るまで、AIを活用して業務のスピードと効率を向上させることへの期待は非常に高まっています。未来を予測することはできませんし、特にAIの進化は予測が難しいが、人を技術革新の中心に据えて、最善の知恵を持ち寄ることで、未来に適切に備えることができると思います」とコメントした。
また、それにより「組織の垣根や国境を越え、一つのチームとして協力すれば、AIやソフトウェアを通じてお客様により大きな価値を提供し、幸せの量産を実現できます」と、トヨタが掲げるミッションである「幸せの量産」というワードを用いて説明している。
モビリティ技術を開発するトヨタの子会社、ウーブン・バイ・トヨタ。Chief Customer Officerの奥地弘章氏は、「ソフトウェアを基盤としたモビリティの新技術・事業開発を通じて、ヒト中心の安全・安心なモビリティ社会の実現を目指しています。アカデミーを通じて、ソフトウェアやAI分野などの人財育成に寄与するアセットを共有することで共に成長し、将来的にはこの活動を外に広げ、さらに多くの仲間と移動の未来を紡いでいけることを楽しみにしています」と期待を寄せている。
■有力5社のタッグで優れた人材を育成
トヨタグループには、世界でも優れた技術や知見を持つ企業が多数ある。今回の5社のタッグにより、より高度なAI・ソフトウェア人材が育っていきそうだ。そしてそれが新商品や新しいソリューションとして、還元されていくことが期待される。
【参考】関連記事としては「トヨタWoven City、自動運転式の「移動カフェ」展開か」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)