タクシーアプリ「S.RIDE(エスライド)」を提供するS.RIDE株式会社(本社:東京都港区/代表取締役:橋本洋平)が、イギリスの有力自動運転開発企業とパートナーシップを締結した。S.RIDEは、ソニーグループが保有するAIとIT技術を活用して開発したタクシー配車アプリだ。
提携したのは、英ケンブリッジ大学発のスタートアップWayve Technologies(ウェイブ・テクノロジーズ)。S.RIDEはWayveのデータ収集パートナーとして、2025年5月12日から公道でのデータ収集を開始した。S.RIDEは、収集したデータは日本の道路事情に適した、安全で高知能なAIを活用する自動運転システムの開発に不可欠なものだとしている。
タクシーアプリ国内最大手のGOも、日本交通とGoogle系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)とWaymoの自動運転技術「Waymo Driver」のテストを実施するため、戦略的パートナーシップを締結したことを2024年12月に発表している。タクシー配車アプリ各社による、自動運転事業参入を見越した取り組みが始まっている。
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■首都圏で交通データの収集がスタート
S.RIDEは、Wayveが開発する運転支援・自動運転向けAIモデルの学習用に、日本の交通環境や運転特性といった公道データを首都圏を中心に収集していく。収集対象は、交差点や信号といった道路状況のほか、車両や歩行者の動き、道路周辺の環境など幅広い交通シナリオにわたるようだ。
データ収集は、東京都内で事業を展開するタクシー事業者のグリーンキャブと連携して行う。今後は国際自動車、寿交通、大和自動車、チェッカーキャブ無線協同組合とも、順次連携していく予定となっている。
なお収集したデータはAIモデルの学習支援のみに使用され、プライバシー保護および関連法令・規制を厳守の上運用されるという。
■NVIDIAやマイクロソフトも出資
S.RIDEのパートナーとなったWayveは、名門ケンブリッジ大学の研究チームが2017年に設立したスタートアップだ。地図データが不要で、エンジニアが運転ルールをコードで記述しなくても、AIによる自動運転が可能になる「AV2.0」という技術を開発している。米半導体大手のNVIDIAやIT大手のマイクロソフト、日本のソフトバンクが出資していることでも知られている。
日産自動車は2025年4月10日、次世代の運転支援技術(ProPILOT)を2027年度より市販車に搭載することを発表した。その次世代運転支援技術として、Wayveの「Wayve AI Driver」が採用された。
4月22日には、Wayveは日本市場への参入を発表した。横浜市内にテスト・開発センターを開設し、他の国内自動車大手との協業を進めていく計画だ。このセンターは、日本特有の都市環境から得られる実世界のデータによってWayveの基盤モデルを強化し、世界的な適応力を高める拠点となる。
これにより、同社は支援運転や自動運転向けに、安全でスケーラブルなAIを導入したいと考えている日本の自動車メーカーにとって、戦略的なソフトウェアパートナーとしての地位を確立するとしている。日本進出はWayveにとって、英国、米国、カナダ、ドイツに続くものとなった。
【参考】関連記事としては「ビル・ゲイツ興奮!自動運転車に乗る」も参照。
■「革新的なモビリティサービス」に注目
S.RIDEは自動運転時代に向けて技術革新が進む中で、新規の高付加価値サービスをソニーのAI・IT技術をベースに創出してきた。「革新的なモビリティサービスで、心動かす移動体験を創る。」というPurpose(パーパス、存在意義)のもと、新たな移動体験の提供やライフスタイルの提案を通して、モビリティサービス市場の変革を牽引していくという。
同社がどのように自動運転を取り入れようしているのかはまだ明らかにはなっていないが、ソニーグループならではの技術とWayveの自動運転技術を融合させた最新のサービスが今後スタートすることを待ちたい。
【参考】関連記事としては「ソニー系のタクシーアプリ、設立後6期で黒字化達成!S.RIDE決算」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)