トヨタのサブスク、KINTOが「売上2倍強」で黒字化目前!第6期決算

KINTO ONE、設立5年で累計申込10万件突破

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出典:官報

トヨタグループでクルマのサブスクサービスやMaaS事業を展開する株式会社KINTO(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:小寺信也)の第6期(2023年4月〜2024年3月)決算公告が、このほど官報に掲載された。

売上高は前期比110%増の417億3,700万円、当期純損失は前期比で85%赤字額を減らし5億8,900万円であった。過去3期の売上高と純損益の推移は、以下の通りとなっている。売上高は年々倍増、純損失は大きく減少していることが分かる。黒字化も目前だ。

<売上高の推移>
・第4期:101億1,900万円
・第5期:198億3,300万円
・第6期:417億3,700万円

<純損益の推移>
・第4期:▲62億1,400万円
・第5期:▲39億1,700万円
・第6期:▲5億8,900万円
※▲はマイナス

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KINTO

■第6期決算概要(2024年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 15,214
固定資産 128,390
資産合計 143,605
▼負債及び純資産の部
流動負債 40,598
賞与引当金 273
固定負債 100,794
退職給付引当金 52
役員退職慰労引当金11
株主資本 2,212
資本金 12,450
資本剰余金 12,450
資本準備金 12,450
利益剰余金 △22,687
その他利益剰余金 △22,687
負債・純資産合計 143,605

損益計算書の要旨(単位:百万円)

売上高 41,737
売上原価 36,170
売上総利益 5,566
販売費及び一般管理費 6,285
営業損失 718
営業外収益 161
営業外費用 25
経常損失 581
税引前当期純損失 581
法人税、住民税及び事業税 8
当期純損失 589

■サブスクやMaaSアプリ事業を展開

出典:KINTO公式サイト

KINTOは、トヨタ自動車の100%子会社であるトヨタファイナンシャルサービスと住友商事グループの住友三井オートサービスによる出資のもと、2019年1月に設立された。「モビリティプラットフォーマーのトップランナーとして一人ひとりの『移動』に『感動』を」をビジョンに、安心安全なモビリティライフの実現を目指している。

新車のサブスク「KINTO ONE」と中古車サブスク「KINTO ONE 中古車」のほか、トヨタ・レクサス既販車のソフトウェア・ハードウェアの機能やアイテムを最新の状態に「進化」させるサービス「KINTO factory」、MaaSアプリ「my route」といった事業を展開している。

KINTO ONEは、クルマにまつわる費用が全て月額にコミコミで利用できるサービスで、2019年3月に東京でトヨタ車のトライアルをスタートさせた。その後同年7月に全国展開、2020年1月にはレクサス車もラインアップに加わった。2024年5月からはSUBARU車も選択できる「SUBARU×KINTO」もスタートした。

手軽にクルマを利用できることからKINTO ONEの利用者数は年々増加しており、設立5周年の2024年1月には累計申込数が10万件突破したことを発表している。

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【参考】関連記事としては「KINTOのメリット・デメリットは?トヨタのサブスク・リース」も参照。

■NFT証明書発行など先進的な取り組みも

出典:KINTOプレスリリース

KINTOは、「安全運転ドライバー」にNFTの証明書を発行し、ブロックチェーン上に記録するという実証実験を2024年6月〜11月に実施中だ。同社は、整備履歴や走行距離などの「車両」に残る記録とは異なり、「ドライバー」に紐づく「安全運転」の証明をブロックチェーン上に残し、その証明を通じてドライバーを評価する仕組みが広く普及すれば、安心で便利なモビリティ社会の構築に貢献できると考えている。

トヨタが自社のコネクティッド技術でサブスクリプションサービスの車両から収集した運転データを分析し、両社で定めた基準で安全運転と認定したドライバーに対して、KINTO独自のNFTの証明書を発行し、その証明をブロックチェーン上に記録するという内容になる。NFTを用いて安全運転ドライバーをブロックチェーン上に記録するという試みは、モビリティ業界で初のことだという。

また同年6月には、ARでクルマの機能を案内する新サービスを開始した。ユーザーがクルマに搭載されている各種機能をスムーズに理解できるよう、専用のスマートフォンアプリで「AR(拡張現実)」の技術を活用して案内するとともに、契約情報をもとに一人ひとりに合わせた一覧リストを提供する新サービス「これなにガイド」を無料で提供する。

■KINTO ONEのさらなる伸びに期待感

KINTOでは、旧車を楽しむためのコミュニティ「Vintage Club by KINTO」も展開している。豊田章男会長をはじめ、クルマを愛し運転する楽しみを味わうことを重視しているトヨタならではの取り組みだ。

モビリティ関連のさまざまな事業を展開するKINTOだが、中でもクルマのサブスクKINTO ONEは「所有から利用へ」と変化している現在のクルマ事情にマッチしたサービスだと言える。自己で保有して長く乗る、またはサブスクで数年単位で利用するなど、さまざまなクルマの楽しみを提案しているKINTOの業績は、今後ますます伸びていく可能性を秘めている。

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※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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