デンソー系NDIAS、初の減益 自動運転×セキュリティで事業

第6期決算、2018年設立の注目企業



出典:官報

自動車に関するセキュリティ事業を展開する株式会社NDIAS(本社:東京都港区/代表取締役社長:木内雄章)=エヌディアス=の第6期(2023年4月〜2024年3月)の決算公告が、このほど官報に掲載された。

当期純利益は、前期比18.2%減の4,893万円であった。これまで順調に純損益を伸ばしてきたデンソー系企業のエヌディアスだが、第6期は初めて前期比較で減益となっている。なおこれまでの純損益の推移は、以下の通りだ。


<純損益の推移>
・第1期:▲1,693万2,000円
・第2期:1,355万7,000円
・第3期:2,937万3,000円
・第4期:4,710万7,000円
・第5期:5,986万8,000円
・第6期:4,893万円
※▲はマイナス

■第6期決算概要(2024年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 404,289
固定資産 53,655
資産合計 457,944
▼負債及び純資産の部
流動負債 114,032
(うち賞与引当金)(53,990)
固定負債 8,632
負債合計 122,665
株主資本 335,279
資本金 100,000
資本剰余金 50,000
資本準備金 50,000
利益剰余金 185,279
その他利益剰余金 185,279
(うち当期純利益)(48,930)
純資産合計 335,279
負債・純資産合計 457,944

■デンソーが50%出資する合弁会社

出典:NDIAS公式サイト

エヌディアスは、自動車部品大手のデンソーと野村総合研究所グループのセキュリティ専門会社であるNRIセキュアテクノロジーズがそれぞれ50%出資し、2018年12月に設立した合弁会社だ。車載電子製品のセキュリティ診断を中心としたサイバーセキュリティ事業を柱としている。

自動車のIoT化や自動運転などの高機能化を実現するためには、サイバー攻撃への対策が必須となる。エヌディアスは高度な専門知識を用いて、急速にデジタル化の進む自動車産業をサイバーセキュリティという側面から支え、安心・安全なモビリティ社会の実現に貢献していくとしている。


具体的には、自動車セキュリティ評価として、車載セキュリティ評価や車載ECUセキュリティ評価、車載・車載ECU脅威分析、コネクテッドサービスセキュリティ評価を行っている。また自動車セキュリティに関する教育や訓練も手掛ける。

2019年6月にイエラエセキュリティと自動車のサイバーセキュリティ分野において、車両・車載電子機器のセキュリティ評価に関する技術を共同開発することに合意したと発表した。また同年8月には、ティアフォーと自動車の自動運転におけるセキュリティ技術の獲得や向上を目指した共同研究を開始している。

■提供するサービスは?

2021年4月に自動車セキュリティに必要な知識・技術を習得できるハンズオントレーニング・サービス、2022年6月には攻撃テクニックに特化した上級ハンズオントレーニング・サービスを提供開始した。また同年9月に自動車のサイバーセキュリティ開発プロセスにおける脅威分析及びリスクアセスメントトレーニング・サービスや、自動車のサイバーセキュリティ監査支援サービスの提供を開始した。

2023年9月には自動車セキュリティの基本的な知識を習得できる研修サービスや、暗号・通信プロトコルなどの特定の新規公知脆弱性情報配信サービス、Linuxカーネルへの攻撃テクニックに特化した上級トレーニング・サービスの提供をスタートした。


2024年に入り、世界各国のセキュリティ法規に対応するための車載器向けセキュリティ技術要件集の活用サービスの提供や、自動車セキュリティ研修サービスの開講を発表するなど、精力的に事業を推進している印象だ。

■第7期の業績は上向きになるか

第5期まで順調に業績を伸ばしてきたエヌディアスだが、第6期では純利益が初の前期比で減益となっている。

同社には、車載電子機器開発や移動体通信システム、Webシステム、SOCなど多様な技術領域をカバーできる専門家がそろっているという。これまで自動車セキュリティに関連した150以上のプロジェクトや90以上のECUのセキュリティ評価、そして500以上の脆弱性の検出という豊富な実績があり、今後も事業拡大が期待される。第7期の決算はどうなるのか、注目したい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「デンソー系NDIAS、60%増益!自動運転×セキュリティで注目」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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